アカナはカナダにあるチャンピオンペットフーズ社が作るキャットフードです。アカナのキャットフードの特長は、「カナダ産の新鮮な食材が使われている」「タンパク質が37%以上含まれている」「グレインフリー(穀物不使用)」「子猫から高齢猫の全年齢が対象」などがあります。
このような特長を持つアカナは、猫の身体にとって必要な栄養素を十分に備えたキャットフードとして、愛猫家からも人気があります。
しかし、全年齢を対象に作られたアカナが、あなたの11歳以上の飼い猫にあったキャットフードかどうかは別の問題です。なぜなら、猫の11歳は人間で言うところの60歳であり、身体のあちらこちらに個々の問題が生じてくる年齢になるからです。
そのため、アカナのキャットフードを購入する前に、使われている原材料についてや、高齢猫の健康への効果についてをそれぞれ良く知ることが重要です。
そこで、アカナを実際に食べた我が家の高齢猫たちの健康状態や体調の変化、食いつき等を絡めながら、アカナキャットフードの種類や原材料の詳細と魅力についてお話します。
本記事を読めば、「アカナキャットフードの種類・栄養成分について」「アカナキャットフードを食べた体調の変化と食いつき」について知ることができます。その結果、あなたの猫が健康に過ごすために、アカナキャットフードが適正かどうか判断することができます。
もくじ
アカナキャットフードについて
アカナキャットフードには「放し飼いの鶏肉がメインのワイルドプレイリ―」「新鮮な魚がメインのパシフィカ」「牧草で育てられた羊がメインのグラスランド」の3種類の味があります。
それぞれのキャットフードの原材料は、カナダの地元で採れる食材のみでできています。アカナのキャットフードを作る製造工場は、カナダ西部に位置する農業・畜産が盛んなアルバータ州にあります。そのため、工場には毎日新鮮な食材が届けられます。
猫が毎日食べる食事としては、新鮮な食材をもとに作られたキャットフードは安心できます。さて、3種類の味があるアカナキャットフードですが、実際の栄養成分はどのようになっているのでしょうか。比較しながら確認してきましょう。
アカナキャットフードの栄養保証成分について
3種類のアカナキャットフードの栄養保証成分は以下の通りです。
ワイルドプレイリ― | パシフィカ | グラスランド | |
タンパク質 | 37% | 37% | 37% |
脂肪 | 20% | 20% | 20% |
灰分 | 7% | 7.5% | 8.5% |
繊維 | 3% | 3% | 3% |
水分 | 10% | 10% | 10% |
カルシウム | 1.5% | 1.5% | 1.8% |
リン | 1.1% | 1.1% | 1.4% |
マグネシウム
(以下) |
0.1% | 0.1% | 0.1% |
タウリン(以上) | 0.15% | 0.15% | 0.15% |
オメガ6 | 2.9% | 2% | 2.5% |
オメガ3 | 0.9% | 2.2% | 1% |
DHA | 0.2% | 1% | 0.2% |
EPA | 0.2% | 0.8% | 0.2% |
タンパク質は、3種類ともに37%含まれています。完全な肉食動物の猫は健康な身体を維持するためにタンパク質はとても重要な栄養素です。AAFCO(米国飼料検査官協会)というペットフードの栄養基準を定めた機関では、成猫以上の猫が必要とするタンパク質の最低基準は26%以上と決められています。
そのため、タンパク質が37%あるのは、十分な量が確保されていると考えて良いでしょう。
高齢猫になると心配になるのが慢性腎不全(まんせいじんふぜん)です。13歳以上になれば20%の猫がかかる病気であるため、11歳以上になれば食事で配慮していく必要があります。では、具体的には何を配慮すれば良いのでしょうか。
まず猫の食事で気を付ける点は、リンの量を控えることです。以下にその理由について説明します。
リンの含有量を控える
リンは猫の身体にとっては必要なミネラルの一つです。リンは身体の働きを良くしたり、栄養吸収を助けたりします。カルシウムと一緒に骨を強化するためにも重要な働きをします。
ただ、腎臓の機能が低下すると余分なリンが尿中に捨てられなくなり、身体の中に過剰に溜まったリンが慢性腎不全を悪化させます。高齢猫になれば徐々に腎臓の働きが弱ってくるため、リンを制限したフードを選んであげることが重要になります。
では、高齢猫にとってどのくらいのリンが妥当な量なのでしょうか。それぞれについて以下の通りです。
・AAFCO(米国飼料検査官協会)では、成猫以上は0.5%が最低基準
・実際の高齢猫用キャットフード(ロイヤルカナン)のリン含有率は0.6%
上記のアカナのリン含有率を確認すると、1.1%~1.4%になっています。AAFCO(米国飼料検査官協会)の最低基準と比較すると2~3倍の量になります。ロイヤルカナンの高齢猫用キャットフードと比較しても、アカナのキャットフードはリンの含有率は多めになっています。
もし、あなたの猫の腎臓の働きが全く問題なかったとしても、あなたの猫が11歳以上になっているのであれば、猫の腎臓を労わるためにも、キャットフードのリンの量をチェックしましょう。リンの目安としては、1.0%程度のものを選んであげると良いでしょう。
アカナの3種類の中では、ワイルドプレイリ―、パシフィカのリンの量は1.1%です。一方グラスランドのリンの含有量は1.4%です。
アカナのキャットフードはリンの量が多めにできています。これは、リンが肉、魚などのタンパク質に含まれている栄養素であるためです。もし、高齢猫にアカナのフードを与えたい場合は、比較的リンの含有量が少なめのワイルドプレイリ―やパシフィカを選んであげるのが良いでしょう。
アカナキャットフードの原材料の比較について
アカナキャットフードの栄養成分についてお話しました。次は、3種類のキャットフードの原材料の違いについてチェックしていきましょう。
ワイルドプレイリ―
鶏肉が主な原材料のワイルドプレイリ―のパッケージは以下の通りです。
ワイルドプレイリ―の原材料は以下の通りです。
ワイルドプレイリ―のメインになる原材料は鶏肉、七面鳥肉です。鶏肉、七面鳥ともに高タンパクで脂肪分が少なく、低カロリーな食材です。猫が必要とするアミノ酸は十分摂れます。それ以外の栄養素では、特にビタミンA、ビタミンB3が豊富に含まれています。
ビタミンAの効能
ビタミンAはレチノールとも言います。猫が必要なビタミンの一つです。効能としては、眼、皮膚、骨、粘膜を健康に維持するために必要です。
ビタミンB3の効能
ビタミンB3 はナイアシンとも言います。ビタミンAと同じく猫が必要なビタミンです。猫は身体でビタミンB3を合成できないので、必要量は毎日の食事で摂る必要があります。ビタミンB3は不足すると下痢などの症状が出ます。アカナのキャットフードのように肉、魚がしっかり入ったものを与えていれば不足になることはありません。
パシフィカ
新鮮な魚が主な原材料のパシフィカのパッケージは以下の通りです。
パシフィカの原材料は以下の通りです。
パシフィカのメインになる原材料は、新鮮なニシン、イワシ、カレイなどの魚です。ニシン、イワシは青魚であり、DHAやEPAのオメガ3脂肪酸が豊富です。DHAやEPAは細胞の働きを良くする効果があります。アカナの3種類のキャットフードの中ではパシフィカにDHAやEPAが一番多く含まれています。
DHA・EPAの効能
DHA、EPAともに身体で合成できません。そのため日ごろからコツコツと食事で摂っておく必要があります。DHA・EPAには、血管の中に溜まった中性脂肪やコレステロールを掃除してくれる役割があります。特に、EPAには血管の中にコブのようなデコボコの血栓が作られるのを防ぎます。
つまり、DHA・EPAを摂取することで、血液をサラサラにする効果が期待できます。その結果、身体全体に血液が巡るため、必要な栄養を十分に得ることができます。
また、DHAには、脳の情報を伝達するために欠かせない成分が含まれています。高齢になると、脳への血流が悪くなるため、認知機能や運動機能が低下します。これを通常ボケてくると言いますが、高齢になればある程度は仕方がないことです。とはいえ、日ごろからDHAをしっかり摂っておけば防ぐことができます。
他にもDHA・EPAで期待できることとして、便秘解消する効果があります。標準的な猫は人間の人差し指ほどのウンチをしますが、高齢になると乾燥したコロコロウンチになってきます。DHA・EPAには、腸を潤す効果や血行を良くする効果があります。
腸が潤えば、コロコロしたウンチもするっと出るようになります。また、腸の血行が良くなれば、腸全体の栄養がしっかりと吸収され、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が活発になります。そのため、老廃物が高齢猫の身体に溜まることがないため、免疫力を維持することができ、元気に過ごすことができます。
DHA・EPAは摂り過ぎに注意する成分ではありません。パシフィカには他のものと比較しても4~5倍のDHA・EPAが含まれています。高齢猫の健康を考えるのであれば積極的に与えた方がよいキャットフードになります。
グラスランド
牧草を食べて育った羊が主な原材料のグラスランドのパッケージは以下の通りです。
グラスランドの原材料は以下の通りです。
グラスランドのメインになる原材料は、ラム肉や鴨肉などです。ラム肉で有効な栄養素はカルニチンです。一方、鴨肉は濃厚な脂身が特長です。その脂身の中には猫の体内で合成できないリノール酸を多く含みます。
カルニチンの効能
カルニチンは身体の脂肪を筋肉に運んで代謝を促す働きがあります。もし、あなたの猫が肥満している場合、代謝がアップするためダイエット効果があります。脂肪の代謝が良くなることで、コレステロールの増加を抑え、身体全体を若々しく維持することができます。
リノール酸の効能
リノール酸は猫が体内で合成できない脂質のため、食品で必ず摂取しなければいけません。リノール酸は艶やかな毛並を作ったり、身体を成長したりするためには欠かせない脂質です。また、血管の中の悪玉コレステロールや中性脂肪も減らします。
アカナキャットフードの栄養素について
ここまでは、原材料を見ながらアカナの3種類のキャットフーを比較をしました。高齢猫にとって適しているかどうかは栄養バランスを見るのがポイントです。アカナのキャットフードを栄養バランスだけで順番を付けるなら以下のようになります。
①パシフィカ
DHA・EPAが含まれている量が3つの中で突出していることと、リンの量が比較的少ないため3種類の中では高齢猫にとって適しています。
②ワイルドプレイリ―
高タンパクの良質な鶏肉が使われています。そして、リンの含有量はパシフィカと同じ量が含まれており、グラスランドよりも少なくなっています。猫は同じものを食べ続けていると、食べ飽きして全く食べなくなる場合もあります。そんなとき用にワイルドプレイリ―も準備しておくと安心です。
③グラスランド
羊肉に多く含まれているカルニチンには、身体に無駄な脂肪が付くのを防ぐ効果があります。ただ、リンの含有量が1.4%であり、他の2種類よりも量が多いのが難点です。高齢猫の腎臓の働きが弱くなれば、リンが身体から排出されず溜まっていくため腎臓に負担を掛けます。
高齢猫に与えるキャットフードは、意識してリンの少ないものを選んであげることが重要です。高齢猫に対しては、他の2種類を優先して与えるようにし、グラスランドは控えめのローテーションにしておきましょう。
猫の好み、食べたあとの体調の変化について
いくら原材料が良くても、猫の好みに合わないキャットフードであれば食べないことがあります。その点でアカナは、猫の好みに合った風味、食感なのでしょうか。ここからは、アカナについて、我が家の猫たちの食べている様子を観察した結果についてお話します。
まず、アカナのキャットフードの形は以下の通りです。
直径1㎝ぐらいの大きさで、薄さ2mmほどです。3種類ともキャットフードの香りは、肉や魚の匂いが強目です。猫たちに与えたところ、食いつきがとても良く、あっという間に食べてしまいました。
ただ、米国のキャットフードメーカーであるヒルズのフードを毎日食べている、友人の猫にお試し用を与えてみたところ、2~3日は食べなかったと言っていました。
ヒルズのフードには、原材料にトウモロコシや米が含まれています。そのため、アカナのフードよりも粉っぽい匂いがします。猫はいつもと極端に匂いが違う食べ物には、警戒心が働くため食べないことがあります。その内慣れてくれば、問題なく食べてくれます。
実際にあなたの猫にアカナを試すときは、小袋のものを購入して食べるかどうかを見てみる方が良いでしょう。
アカナを一週間与えた結果、猫のウンチの状態は、どの猫も人間の人差し指一本分よりも多めの量を出していました。アカナに含まれているDHA・EPAの効果もありますが、新鮮な野菜・果物が豊富に含まれているため、食物繊維を十分に摂取できるからです。
価格について
アカナのキャットフードの中でもパシフィカは、高齢猫にとって必要な栄養素が詰まったフードです。あなたの猫にアカナのフードを与える場合、価格は大事な判断基準です。実際のところ、どのくらいの費用がかかるのかを以下にまとめました。
種類 | 内容量 | 価格(税込み) |
アカナワイルドプレイリ― |
340g | 1,350円 |
1.8㎏ | 6,264円 | |
アカナパシフィカ |
340g | 1,350円 |
1.8㎏ | 6,264円 | |
アカナグラスランド |
340g | 1,350円 |
1.8㎏ | 6,264円 |
猫の健康を考えたなら、開封後のキャットフードは、1か月以内で食べてしまえる量の340gか1.8㎏を購入するようにしましょう。
理由は、アカナのキャットフードに含まれる身体に良い成分のDHA・EPAは酸化しやすい油です。せっかく身体に良いキャットフードを与えても、酸化してしまうと身体に毒となってしまうため、猫が1か月以内で食べ切れないサイズの購入は止めた方が良いでしょう。
まとめ
13歳以上になると慢性腎不全(まんせいじんふぜん)になる猫が20%います。そのため、猫が11歳以上になるころから腎臓に配慮したキャットフードを与えるのが適しています。腎臓に配慮するには、「リン」の量を少ないものを与えるのが有効です。
アカナのキャットフードは、全年齢を対象にしたものになっています。キャットフード内のリンが含まれる量は多めになっています。全部で3種類のキャットフードのうち、「ワイルドプレイリ―」と「パシフィカ」は、比較的リンの量が少な目です。高齢猫には、この2種類のものを選んであげると良いでしょう。
パシフィカには、原材料に新鮮な魚が使われています。魚にはDHA・EPAの2種類の油が豊富に含まれています。DHA・EPAには、血液をサラサラにする効果、身体が酸化するのを防ぐ効果、腸を潤す効果、脳の神経細胞を若々しくする効果など健康維持するためには必要です。
DHA・EPAは合成することが出来ないため、食事で摂り入れることが重要です。パシフィカに含まれるDHA・EPAは他のものに比べると4倍以上になるため、高齢猫には積極的に食べさせてあげましょう。