猫は雑食傾向のある肉食動物です。基本の食生活はたんぱく質が中心ですが、穀類や野菜もバランス良く食べる必要があります。ただ、たんぱく質量は人間と比較して4~5倍も必要です。猫の便臭は動物性たんぱく質の量が多いのが原因です。

このことから、たんぱく質の摂取が多い食生活の猫の便が臭いのはある程度は仕方がないのです。猫を室内飼いしていると、当然ながら家の中に猫のトイレがあります。基本は小まめな掃除が大事ですが、食べるキャットフードによって便の臭いは変わってきます。

私もそのことをつくづく感じた出来事があります。我が家では、キャットフードはだいたい決まったものを与えています。しかし以前、うっかり切らして別のもので代用したことがあります。そのときの猫の便はいまだかつて感じたことが無いほどの悪臭でした。

その便の状態もいつもとは違っていました。具体的な便の状態は、いつもの黄土色の便よりは浅い色をしており、水分を多く含んだ緩いもので、そのぶんウンコの量も多かったです。ぱっと見た目は下痢っぽいなと感じました。その後、いつものキャットフードに戻すと、便の状態は健康な黄土色のふっくらしたものに戻りました。

便は食べて消化吸収されたあとの結果です。このことから、キャットフードの原料や加工の仕方が便臭に影響を与えることが分かります。

つまり、便の状態を整えるものや消臭成分の入ったキャットフードを選ぶことが便臭軽減につながるのです。このことから、今回は便の状態を整えるものや、消臭成分のある原料が含まれたキャットフードにはどんなものがあるかについてお伝えします。

便臭の原因として考えられること

ここでは、まず便臭の原因についてお伝えします。具体的には、以下の3つがあります。

・消化吸収が悪く便の量が多い

・食物繊維などの整腸効果をもつ原料が含まれておらず、腸内環境が悪い

・運動不足により消化器官の働きが鈍い

それぞれについて詳しく解説します。

消化吸収と便の量について

猫が野生で生活する場合、小動物を頭から尻尾まで丸ごと食べます。食べた小動物の胃袋に食物繊維や炭水化物があれば、そこから必要な栄養を吸収します。このことからたんぱく質がメインとなり、副菜に穀物、野菜を食べることが猫の胃腸に負担をかけない食事となります。

そのためキャットフードにはたんぱく質の割合が高く作られています。そのほかにも穀物(トウモロコシ、小麦、米)野菜なども含まれています。さまざまなビタミン、ミネラルも健康な体をつくるために必要になるからです。

ただ、それらの配分バランスが悪いと胃腸に負担をかけることになります。キャットフードがうまく消化されない場合、消化不良になり大量の便が排出されることになります。一方、猫に合った食品がバランス良く配合された場合、胃腸の働きがスムーズですから、消化吸収率が良く便の量も少なくて済みます。

飼い猫の便の状態がどうであるかを観察することは、食べているキャットフードが飼い猫の体に合っているかどうかを確認する大事な視点になります。

食物繊維の整腸効果について

食物繊維には2種類あります。「水溶性食物繊維」と「不水溶性食物繊維」です。

水溶性食物繊維は、腸内にたまった不要なものを包んで体外に排出する作用があります。一方、不水溶性食物繊維は胃や腸で水分を吸収して膨らみ、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)を活発にして便通を促進します。

食物繊維をバランス良く含むことで、速やかな排便により腸内環境の悪化を防ぎます。

健全な排せつは何よりも大事です。栄養吸収後の食物のカスは速やかに体から出さないと、老廃物として体にどんどん溜まります。無駄なものが溜まると、次に入ってくる新鮮な食べ物の栄養吸収がうまくいかず、健康状態もだんだん悪くなります。

また、猫は自らの毛を舐めて整えるというグルーミングをしますから、自分の毛を知らずに飲み込む場合も多々あります。ほとんどは吐くことで問題解決しますが、一部腸に流れていく毛があります。

そのようなことがあったとしても、食物繊維を食べることで全て包み込んで排出することができます。食物繊維は猫の体にとっては大事な食品なのです。

運動不足と消化器官の働きについて

猫は動物です。動くことで体の機能が整備されます。もし運動不足になると筋肉が衰え、それに伴い内臓の働きも鈍ります。その結果、消化器官がうまく働かず、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が阻害されることにつながります。適度な運動がとても大事です。

便臭を和らげるキャットフードとは

キャットフードにはたくさんの種類があります。そのなかでも、便臭を和らげるキャットフードを選ぶ際のポイントについては、室内飼い猫用の「インドア」と表示のあるものや、「臭いの軽減」などの表示のあるものを選ぶと良いでしょう。

以下に具体的なキャットフードの説明をします。

このキャットフードは、たんぱく質の加工方法に特徴があります。たんぱく質の消化に時間がかかるため、消化率90パーセント以上の超高消化性たんぱく質を配合しており、消化器官に負担をかけません。

また、含まれている穀物(とうもろこし、大麦、小麦)などは細かい粉になるよう特殊加工されており、消化吸収しやすくなっています。その結果、健康的な消化を維持し、便の臭いと量を軽減することが可能になるのです。

以下は原材料の一覧です。便臭軽減につながるものはどのようなものがあるのでしょうか。

便臭軽減になるものについては、フラクトオリゴ糖、サイリウム、緑茶抽出物(ポリフェノール源)が挙げられます。それぞれの効能についてみていきましょう。

・フラクトオリゴ糖の効能について

フラクトオリゴ糖は腸内のビフィズス菌をはじめとする善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。便秘予防になり、便臭軽減につながります。

・サイリウムの効能について

オオバコ科の植物であるプランタゴ・オバタから作られた食物繊維です。主に水溶性の食物繊維からできており、整腸効果が高いという特徴があります。

・緑茶抽出物(ポリフェノール源)の効能について

緑茶にはカテキンという消臭成分があります。このカテキンは緑茶の主成分となっているポリフェノールの一種です。効果はさまざまあり、代表的なものとしては活性酸素を抑える効果があります。また抗菌作用もあります。この抗菌作用により、臭いのもとになる細菌を退治しますので消臭効果もあります。

このキャットフードの便臭軽減につながる特徴としては以下2つがあります。

・消化吸収率の工夫がされている

・整腸成分、消臭成分という目的に合わせ必要な食品を配合している

人間の食事に置き換えると、サプリメントを上手く活用したバランスのとれた食事です。効率的で効果的なキャットフードです。

ただ、このキャットフードについても年齢対応型となっています。一匹だけ飼っている家庭や複数の猫がいても年齢が近い家庭はこのようなキャットフードが合っています。一方、私のような年齢がバラバラの多頭飼い家庭の場合、老猫が成猫用を食べたり、成猫が老猫用を食べたりと管理がうまくいきません。

そのような家庭の場合は、以下のような「子猫からシニアまで対応型」のキャットフードを選ぶのが良いでしょう。

食品に含まれる消臭効果を活用したキャットフードとは

次に紹介するキャットフードは、整腸効果により便臭を軽減する栄養素(消臭成分)を持った食品が配合されています。

以下の内容が原料です。

さつまいも、バナナ、リンゴの中には食物繊維やオリゴ糖など整腸効果の高い栄養素が含まれています。それぞれについて詳しくみていきましょう。

・さつまいもの効能について

さつまいもには豊富な栄養素が含まれています。主に2つの成分により便臭軽減効果があります。

1.食物繊維

さつまいもには食物繊維が含まれています。その中の不水溶性食物繊維と水溶性食物繊維のバランスは2:1で便通改善に理想的なバランスになっています。これにより、腸内環境を整える作用があります。

2.ヤラピン

さつまいもの切り口から出る白っぽい汁がヤラピンです。胃腸の粘膜保護や腸の動きを促進させる働きがあります。

・バナナの効能について

バナナも栄養豊富な果物です。その中でも特に2つの成分が便臭軽減に効果があります。

1.食物繊維

さつまいも同様に不水溶性食物繊維と水溶性食物繊維のバランスが良い食べ物です。それにより、便通が良くなり臭いを軽減することができます。

2.フラクトオリゴ糖

腸内でビフィズス菌などの善玉菌のエサになります。腸内の環境を良くします。

・リンゴの効能について

「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」といわれるほど栄養価の高い果物です。その中の2つの成分に便臭軽減効果があります。

1.ペクチン

リンゴに含まれるアップルペクチンは水溶性食物繊維で整腸作用があります。また、アップルペクチンは大腸に届き腸内の乳酸菌のエサになり善玉菌を増やす働きがあります。

2.ポリフェノール

リンゴにはカテキン、クロロゲン酸、ルチンなど約50種類のポリフェノールが含まれています。カテキンは、緑茶にも含まれており、抗菌作用、抗ウイルス作用があります。抗菌作用があるため消臭成分として捉えることができます。

このキャットフードを人間の食事に置き換えると自然のものをバランス良く取り入れた健康的な食事です。食物それぞれに多様な栄養素が含まれていることを理解し、猫の健康を目的として作られています。「いつも食べるものは自然にある食べ物を与えたい」と考える飼い主には適したキャットフードになります。

ちなみに、我が家の猫にはこのようなキャットフードを与えており、便通も便の状態も健康的です。
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便が緩み臭いが強かったキャットフードとは

先に述べた通り、以前にキャットフードを切らしたことがあります。その間、別のもので代用しようと思い、以下のキャットフードを与えました。5匹の猫の食いつきは上々でしたが、便の状態が非常に悪く、臭いも強かったものです。

原材料の中のものは、穀類、タンパク質、ミネラル、ビタミンが含まれています。このキャットフードは、猫の嗜好性を刺激するフィッシュパウダ一が配合されています。そのため、猫の食いつきは抜群です。また特徴的な材料としては、着色料のような添加物も含まれています。

整腸作用があるもの、残念ながら消臭効果があるもの(消臭成分)は含まれていません。人間の食事に置き換えるなら、スナック菓子やジャンクフードの類いです。常時必要なものではなく、たまに必要があれば与える程度のキャットフードになります。

このようなことから、原材料と便臭は深く関係があります。家の中で一緒に暮らす関係性がありますから、飼い主は飼い猫の便臭によるストレスを感じたくはないものです。その問題を解決する術は、きちんと整腸効果のあるものや消臭成分が含まれたキャットフードを与えることなのです。

運動不足と便臭について

家の中で暮らす猫は運動不足になりがちです。運動不足は猫の体の不調を招きます。なぜ、運動不足が便臭を強キツくするのでしょうか。

まず、運動をすることで呼吸数、心拍数が上昇しますし、体全体の筋肉が働きます。また、運動することで喉も渇きますから、十分な水分が摂取されて体が潤います。これらの影響により腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が活発になり、スムーズな排便がなされます。

また、キャットフードの原材料に消化吸収が良くなる加工がされていることや、整腸効果や消臭効果のあるものが含まれていることで相乗効果がもたらされ、規則正しい排便につながります。また、善玉菌の働きにより臭いの少ない便になります。結果的に、腸の中に長く便が停滞することはありません。

運動不足により、筋肉や内臓の働きが緩慢になれば、便秘になり腸内の悪玉菌が増えます。その結果、臭いのキツイ便になります。飼い主は、猫が運動不足にならないように工夫することが大事です。猫の運動は高い所に昇ったり降りたりで運動になります。

猫が運動不足にならないように、階段やキャットタワーなどを効果的に活用しましょう。

まとめ

猫の便は動物性たんぱく質が多いことから、臭いが強烈です。ただ、腸内環境を整えることや、消化器官の働きを良くすることで臭いを和らげることができます。気を付けることは、日々与えるキャットフードと生活習慣です。

便臭軽減になるキャットフードは「インドア」「臭いの軽減」と表示のあるものが良いでしょう。もしそのような表示が見当たらない場合でも、キャットフードの原材料一覧を確認し、ビフィズス菌、オリゴ糖、サイリウム、食物繊維、カテキンなどの消臭成分が表示されていれば腸内環境へ配慮されたキャットフードになります。

また、キャットフードには自然の食物を選ぶことで、その中に含まれる多様な栄養素による働きが、腸内環境を良くする場合があります。代表的な食物としては、リンゴ、さつまいも、バナナなどです。これらには豊富に整腸効果のある成分や消臭成分が含まれています。

キャットフードが便の素になりますから、原材料をきちんと確認する必要があります。猫のお腹の健康が飼い主にとっても臭いのストレスを和らげます。

運動不足は体の機能を衰えさせます。猫は激しい運動は必要なく、上下運動を効果的にすることで十分足ります。自然にそのような動きにつながるような環境をつくることが大事です。