我が家の最高齢猫(19歳7か月)が健康診断を受けた際に、甲状腺機能亢進症(こうじょうせんこうきのうこうしんしょう)と慢性腎不全(まんせいじんふぜん)を併発していることがわかりました。猫の19歳は人間でいうところの92歳です。歳も歳なので、病気になるのは仕方がありません。

ただ、幸いなことに発見が早く、すぐ治療をすることが出来たため、状態としてはとても安定しています。

甲状腺機能亢進症と慢性腎不全は、どちらも高齢猫が多く発症する病気です。そして、両方の病気は、密接に関わっているため併発する可能性が高いです。

また、両方とも厄介な病気ですが、早めに見つけることが出来れば、投薬と療法食(りょうほうしょく)で、状態を短期間で安定させることができます。

今回の記事は、甲状腺機能亢進症と慢性腎不全を併発した際に、与えるキャットフードについてお話します。あなたの愛猫が万が一、甲状腺や腎臓の病気に罹ったとしても、暗い気分になる必要はありません。あなたの猫の体調にあったキャットフードを選んであげることで、病気の状態を安定的に維持することができます。

慢性腎不全の症状

慢性腎不全(まんせいじんふぜん)は、13歳以上の猫の約2割が罹っています。ただ、慢性腎不全は突然高齢になっていきなり発症するものではなく、若いうちから少しづつ進行しています。

腎臓はなかなか症状が見えにくい臓器です。慢性腎不全の代表的な症状である、水をたくさん飲んだり、おしっこの量が多くなるという代表的な症状がみられるのは腎臓の機能が66%以上失われた時点です。そのため、日ごろからあなたの猫の飲む水の量がどの程度なのかを気にしておくことで早期発見につなげることができます。

以下は猫が慢性腎不全になった際の症状です。

腎臓機能が66%以上失われた際の症状

  • 水をたくさん飲む
  • おしっこの量が増える

〈多飲を疑う目安〉

体重 1日の飲む水の量
3㎏ 240ml以上
4㎏ 320ml以上
5㎏ 400ml以上
6kg 480ml以上

腎臓機能が77%以上失われた際の症状

  • 水をたくさん飲む(明らかな症状)
  • おしっこの量が増える(明らかな症状)
  • おしっこの臭いがしない
  • 便秘・下痢
  • 脱水症状
  • よく吐く
  • 貧血で歯ぐきが白い
  • 毛づやがない(ぱさぱさしている)
  • 食欲が無くなり、体重が減る

甲状腺機能亢進症の症状

甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうそくしんしょう)とは、甲状腺ホルモンの病気です。甲状腺ホルモンとは、身体の代謝を活発にするホルモンです。甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンがたくさん分泌されすぎることで、細胞の新陳代謝が促進されさまざまな弊害をもたらします。

若い猫よりも10歳以上のシニア猫~高齢猫にかけて発症します。なぜ甲状腺ホルモンの分泌が多くなるのかの原因については、現時点では解明されていません。

甲状腺機能促進症の症状はいろいろありますが、猫の性格なども絡み個体差が大きく、明らかな甲状腺機能促進症の症状が出るのは病気が進行してからです。

我が家の15歳以上の2匹の猫は、実際に甲状腺機能亢進症を患っていますが、体重が痩せてきたと感じたことが病気発見のきっかけでした。

10歳以上のシニア猫~高齢猫が、いつもと同じ量の食事をしているのに痩せてきた場合、甲状腺機能亢進症になってきているかもしれません。なんだか最近体重が軽くなったなと感じたら、放置せず病院で検査をしてみることをおすすめします。

以下は、甲状腺機能亢進症になった場合のいちばん分かり易い症状についてお話します。

初期の甲状腺機能亢進症になった際の症状

  • たくさん食べているにも関わらず痩せてきた(同じ量の食事を食べているのに痩せてきた)
  • 水をたくさん飲む
  • おしっこの量が増える

甲状腺機能亢進症になると代謝が活発になるため、食べても栄養として吸収される前に排せつされてしまいます。キャットフードを欲しがるわりに痩せてくるという症状は、いちばん見つけやすい症状です。ただ、食べる量については通常どおりで体重が減少してくる場合もあります。

食欲が通常どおりでも、いつもより旺盛(おうせい)になっても、痩せてくるとすれば異常のサインと考えましょう。日ごろから体重チェックをしておき、10%以上の減少が見られたら甲状腺機能促進症の可能性があります。

我が家の19歳の猫の体重は3㎏ですが、食欲が同じままで2.8㎏に体重が減少してしまい、甲状腺機能亢進症の検査を受けました。

甲状腺機能亢進症の検査は、血液中の甲状腺ホルモン(T4)の量を測定してみることで発見することができます。T4 の標準値は0.6~3.9㎍/㎗のところ、我が家の猫は5.41㎍/㎗でした。

体重減少の原因は、甲状腺ホルモンが多く分泌されているためでした。早速、投薬による治療を我が家の高齢猫の数値であれば、刻な数値ではなく体重の増減をチェックを習慣にすることで、いろんな病気を早期発見することができます。

シニア以上の高齢猫になると、筋肉が落ちて体重が軽くなる傾向もありますが、1~2か月で10%以上も体重が減ることはありません。体重減少の陰に病気が隠れている可能性があるため、見落としが無いよう気を付けましょう。

次に、甲状腺機能亢進症のその他の症状について以下にお話します。

甲状腺機能亢進症になった際の様々な症状

  • 妙に活発、落ち着きがない
  • 鳴いて走り回る
  • 攻撃的
  • 下痢
  • 毛づやがない(ぱさぱさしている)
  • 爪が厚くなってきた
  • 冷たい場所で寝ている
  • よく吐く

症状は猫の個体差があるため、一概に上記の症状がみられるとは限りません。鳴いて走り回ったり、攻撃的、妙に活発などは、分かり易い場合もありますが、猫によっては気が付きにくい症状です。

ちなみに我が家の猫2匹はともに性格が穏やかだったこともあり、目だって攻撃的になったり、落ち着きが無かったりすることはありませんでした。獣医師の説明でも、個々の性格もあるので一概には言えないとのことでした。

しかし、甲状腺機能促進症の発見が遅れると、下痢や嘔吐(おうと)などの症状が見られたり、栄養が不足して毛のツヤが失われたりします。

また、全身の代謝が活発になり過ぎることで、心臓への負担が増し、心臓が大きくなる心肥大や心臓の機能に支障があることを知らせる心雑音を発症することになります。身体に付加がかかった状態を放置すると突然死のリスクもあります。高齢猫の場合は、体重測定をこまめに行い、早めに病気を見つけてあげるようにしましょう。

慢性腎不全と甲状腺機能亢進症の併発について

慢性腎不全と甲状腺機能亢進症はどちらも高齢猫がかかりやすい病気です。我が家の19歳の猫のように超高齢猫になってくると、どちらの病気も潜在的に発症している場合があります。そのため定期的な血液検査を行い数値に異常がないかの確認が必要です。

腎臓は毛細血管が集まった臓器です。腎臓が機能するには多くの血液を必要とします。しかし、高齢になるにつれて腎臓の働きが悪くなると、血流が悪くなります。

一方、甲状腺ホルモンは、内臓の働きを活発にするホルモンです。甲状腺機能亢進症で甲状腺ホルモンが多く分泌されると、腎臓への血流量が増加します。すると、弱っていた腎臓が活発に働きだします。

慢性腎不全になっていたとしても、甲状腺ホルモンの影響で実際の症状が表面化しないのです。こうなると、甲状腺ホルモンは腎臓にとってありがたい存在のように感じますが、良い面ばかりではありません。

甲状腺ホルモンが過剰に分泌され続けると、心臓に負担を掛け、高血圧を引き起こします。そうなると、心拍数が早い状態が続き、心肥大などを引き起こします。手当が遅れてしまうと最悪な場合は、突然死をしてしまうこともあります。

高齢猫になればなるほど、身体全体の機能は衰えてきます。健康そうに見えても、少しづつ機能が失調してきます。高齢猫が罹りやすい慢性腎不全や甲状腺機能亢進症などについては、毎日の水を飲む量や体重を管理するだけでも、早期発見につなげることができます。

次は慢性腎不全と甲状腺機能亢進症を併発した我が家の19歳の高齢猫の治療の経過についてお話します。

19歳の高齢猫の治療経過について

我が家の19歳の高齢猫が最近、慢性腎不全と甲状腺機能亢進症を併発しました。

その際の血液検査の結果は以下の通りです。

慢性腎不全かどうかを判断する数値は、尿素窒素とクレアチニンを見ます。

尿素窒素とは、血液中の尿素に含まれる窒素成分であり、タンパク質が利用された後の残りカスです。また、クレアチニンとは、筋肉内でアミノ酸の一種であるクレアチンがエネルギーとして使われた後の老廃物です。

どちらも、腎臓が健康であれば、尿中へ排出されますが、腎臓の働きが低下すればするほど、尿素窒素やクレアチニンはろ過されず血液中に残ってしまいます。

上記の数値では、尿素窒素は42.5mg/㎗です。標準値範囲の17.6~32.8mg/㎗以上の数値になっています。また、クレアチニンは2.0mg/㎗です。標準値の0.8~1.8mg/㎗の範囲よりも高い数値になっています。

一方、甲状腺機能亢進症かどうかを判断する数値は甲状腺ホルモン(T4)を見ます。甲状腺ホルモンとは、甲状腺から分泌され、全身の細胞を新陳代謝する働きをするホルモンです。

上記の数値を見ると、甲状腺ホルモンは5.41㎍/㎗です。標準範囲は0.6~3.9㎍/㎗に比べると高い数値です。体重が3㎏から2.8㎏へ減少していたのは、甲状腺ホルモンが過剰に出ていたためでした。

この血液検査の結果から、まずは甲状腺ホルモンを抑える治療を始めました。

甲状腺ホルモンを抑える方法は、薬を使った治療と食事による治療があります。我が家の猫は、薬による治療をすることになりました。薬の名称はメルカゾール錠といい、実際のものは以下の通りです。

メルカゾール錠を2週間飲んでみて、結果を見ながら調整をすることになりました。甲状腺機能亢進症の療法食もあります。実際のものは以下の通りです。

アメリカのペットフードメーカーであるヒルズから販売されています。甲状腺ホルモンの素になるヨウ素の含有率を抑えた低ヨウ素の療法食(y/d)です。

先に紹介したメルカゾール錠を飲んで身体にアレルギー症状が出る猫や薬による治療を極力やりたくないという飼い主のニーズがある場合、ヒルズの低ヨウ素の療法食(y/d)を試してみると良いでしょう。

ただ、ヒルズの低ヨウ素の療法食(y/d)で治療を行う際には、他のキャットフードを摂ってはいけないという注意点があります。他のフードにはヨウ素が含まれているため、少しでも食べてしまうと、低ヨウ素の意味が無くなってしまうのです。

猫は食べ物に対してこだわりが強いため、嫌だと思ったらなかなか食べてはくれません。我が家では多頭飼いをしていることもあり、他の猫のフードを食べてしまう可能性が高いため、低ヨウ素の療法食(y/d)による治療はしていません。

メルカゾール錠で治療を行い、2週間経過した数値は以下の通りです。

甲状腺ホルモン(T4 )の数値は2週間前の5.41㎍/㎗から3.5㎍/㎗の標準範囲内に収まりました。体重も2週間で2.8㎏から3㎏へ戻り経過は良好です。

一方、尿素窒素の数値は2週間前の42.5mg/㎗から46mg/㎗になりました。クレアチニンの数値も2週間前の2.0mg/㎗から2.2mg/㎗になりました。どちらの数値も上昇しています。

我が家の高齢猫のように、慢性腎不全と甲状腺機能亢進症が併発してしまったら、まずは甲状腺ホルモンの分泌を抑えて、腎臓がどの程度の数値を示すか正確に判断する必要があります。

また、甲状腺ホルモンは、急激に抑えすぎると、腎臓への血流が少なくなり、慢性腎不全を悪化させることがあります。それぞれの数値は今後もこまめにチェックしながら、バランスを見ていくことになりました。

慢性腎不全の状態であるため、腎臓の治療は、腎臓病用の療法食に切り替えることになりました。

腎臓病の療法食とは、ミネラルの仲間のリンの含有量が制限されたものになります。また、タンパク質の量もも少な目に調整されています。

腎臓病の療法食はいろんな種類のものがあるため、猫が食べない場合でもいろいろ試すことができます。では、以下に腎臓病の療法食について紹介します。

慢性腎不全と甲状腺機能亢進症を併発した際のおすすめキャットフード

ロイヤルカナン 腎臓サポート

ロイヤルカナンは犬や猫についての独自の研究所を持っているフランスのペットフードの会社です。さまざまな種類のフードを販売しています。療法食も多数販売しています。

腎臓病用の療法食はいくつか販売されています。以下は我が家の猫に与えている腎臓サポートのパッケージです。

中身の粒は以下の通りです。

粒の大きさは、直径1㎝程で平たい形です。ロイヤルカナンのキャットフードは、猫が好む香付けがされているため、違和感なくすぐに食べてくれました。

我が家の猫は、嫌いなフードだと食べなかったり、他の猫のフードを食べにいったりします。そのため、食いつきが良いというのはとても重要なポイントになります。

この腎臓サポートはロイヤルカナンの腎臓病用の療法食の中でも一番リンの含有量が抑えられています。食べ飽きしなければ、基本に与えるフードにしておくと良いです。

ロイヤルカナン 腎臓サポートスペシャル

同じロイヤルカナンから販売されている腎臓サポートスペシャルもあります。パッケージは以下の通りです。

中身の粒は以下の通りです。

先に紹介した腎臓サポートの粒と比べると、形が違います。先ほどのものは、平たく丸い形でしたが、三角になっています。

こちらのフードも我が家の猫の食い付きはとても良いです。おためしサイズの500gタイプであなたの猫がどちらを好むかで選んであげると良いでしょう。

ただ、二つのキャットフードの主な違いは、タンパク質とリンの含有量です。

タンパク質の含有量 リンの含有量
腎臓サポート 23.4g 0.31g
腎臓スペシャルサポート 26.4g 0.45g

我が家の猫は高齢猫ということもあり、腎臓に極力負担を掛けないためにも、タンパク質、リンの量がより少ない腎臓サポートの方をメインに与えています。そして、同じものばかりで食べ飽きた際に、腎臓スペシャルサポートという優先順位にしています。

ヒルズスペシフィック特別療法食 腎臓ケアk/d(チキン&野菜入りシチュー)

ウェットフードは水分が70%以上もあります。慢性腎不全になってくると、おしっこの量が増え、脱水ぎみになります。その分、腸内に水分が行き届かずウンチがコロコロとしたものになります。それを防ぐためには、水分が多く含まれているウェットフードを与えるのが良いです。

以下に紹介するヒルズはアメリカのペットフード会社です。ロイヤルカナンと同じく独自の研究所を持っており、多数の療法食を開発し販売しています。

腎臓ケア用療法食は以下のパッケージです。

中身は以下のようになっています。

とろみのある柔らかいフードです。写真のものはチキン味ですが、他にツナ味があります。我が家の猫はドライフードが好きですが、ウェットフードも1日1回は食べます。

ウェットフードの注意点は、20分~30分以上経過すると劣化するところです。ウェットフードは、人間の食べものでいうところのお刺身と同じと考えましょう。時間の経過とともに酸化していきます。どんどん風味も損なわれてしまいます。

たくさん与えても残る可能性があるときは、少しずつ与えるようにしましょう。残ったウェットフードは、すぐに冷蔵庫で保存しましょう。常温のままだと、フードが腐ってしまい、猫の身体に悪影響です。

スペシフィック 猫用腎臓用FKW

ウェットフードは食感がいろいろあります。先に紹介したヒルズはシチュータイプで、肉や野菜の形が残ったタイプでした。猫によっては、食感が滑らかなものを好む場合もあります。

また、1種類だけだと飽きてしまい食べなくなることもあるため、目先を変えるために違った食感のものを与えてみるのも良い場合があります。

以下のウェットフードは、スペシフィックというデンマークのフードです。新鮮な魚が多く獲れるデンマーク産であるため、猫が必要とする不飽和脂肪酸であるEPAとDHAが多く含まれているフードです。

パッケージは以下の通りです。

中身は、以下の通りです。

スペシフィックは、滑らかな食感であるため、食べやすいようです。匂いも強く、とても食いつきが良いウェットフードです。

腎臓病の療法食に切り替える際に、猫が食べなかったら、どうしようと最初感じていました。実際のところは、いろんな種類のものがあるため、ダメなら別のモノを試すことができます。

お試しサイズであなたの猫が好む療法食を探してあげましょう。

まとめ

高齢猫になると掛かりやすい病気が、慢性腎不全と甲状腺機能亢進症です。この二つの病気を併発するケースもあります。

猫が高齢になってきたら、体重と水を飲む量に変化がないか注意をしましょう。なぜなら、慢性腎不全や甲状腺機能亢進症を早期発見につながるからです。

慢性腎不全は早めの発見であれば、腎臓病の療法食で治療を行います。腎臓病は猫が罹りやすい病気であるため、さまざまな療法食が販売されています。

腎臓病の療法食は、タンパク質の量やミネラルのリンの量が少ないのが特徴です。どの療法食も猫が好む香、味になっているため、とても食いつきが良いものばかりです。

慢性腎不全は、食事管理をしっかりすることで、病気の進行をゆるやかにすることができます。あなたの猫が食べ飽きしないよう、いろんな食感、風味で工夫してあげましょう。