猫は健康なときでもよく吐く動物です。その原因は、「グルーミング」という習慣があるからです。

まず、猫が「グルーミング」をする理由を以下にまとめます。

・体を清潔にするため

・体温を調整するため

・心を落ち着かせるため

・ニオイを消すため

・ビタミンDを摂取するため

このように、「グルーミング」は猫にとってはとても大事な行為です。しかし、ザラザラした猫の舌でグルーミングを頻繁(ひんぱん)にすると、毛を飲み込んでしまうことになります。その飲み込んだ毛は、胃の中で「毛玉」となります。猫は、胃の中の毛玉のせいで胸がムカムカするため、すっきりするために吐こうとします。

このような場合で、よく吐くことがありますが、とくに心配することはありません。

しかし一方で、猫が「よく吐くとき」には、深刻な病気が隠れているときもあります。飼い主は、猫がよく吐いているのを見つけたときに、大丈夫なのか、すぐに病院に連れて行った方がよいのかの違いを知っておくと安心です。今回はその違いを詳しくお伝えします。

猫が吐き戻すときの状況

猫が吐き戻すのは、日常的によく目にする光景です。しかし、初めて猫を飼ったときは、理由がわからずびっくりしたものです。まずは、よく吐くけど別に心配しなくてもよい状況についてまとめました。

健康なときに猫が吐く理由

・グルーミングが原因で吐くとき

・一気に食べた、または急いで食べたことが原因で吐くとき

この場合、猫が頻繁(ひんぱん)にキャットフードを吐いたとしても、心配しなくても大丈夫です。ただ、それぞれの場合で、飼い主がしてあげられることがあります。どれも少し変えるだけで、嘔吐による猫の体の負担を軽くすることができます。

グルーミングが原因で吐く

先にお伝えしましたが、グルーミングは猫にとっては必要な行動です。この行動によって、猫が吐くのは、猫の体の構造上、仕方がないのです。ただ、うまく毛を吐き出すことができれば、特に問題はありません。しかし、そうできない場合はとても深刻なケースにつながることがあります。

グルーミングによって飲み込んだ毛が吐けなかった場合、猫はどうなるのでしょうか。その猫の毛が胃の中に毛玉(ヘアボール)となって停滞し、出すことができなくなった場合、胃から小腸のへの出口をふさいで毛球症(もうきゅうしょう)という病気につながることがあります。

この毛球症につながりやすい猫は、「ペルシャ猫やヒマラヤンのような毛足の長い猫」「高齢猫で通常の吐く力が弱まってしまった猫」「冬毛から夏毛に生え変わる換毛期の猫」です。この場合では、日ごろからの予防がとても大事になります。

猫の性質を良く理解し、日ごろから、できることをしてあげましょう飼い主がしてあげることとしては、以下のようなものがあります。

・ブラッシングをする

実際のブラシとしては、写真のようなものがあります。

ペットショップに行けば、いろんな種類のブラシがあります。好みのものを見つけ、ブラッシングをしてあげましょう。

ちなみに、うちの猫は和猫で短毛です。そのため通常は、一週間に1回程度のブラッシングで充分です。ただ、冬毛から夏毛に生え変わる換毛期は大量に抜け毛がありますので、なるべく毎日ブラッシングを行います。

・猫草を用意する

胃の中の毛球を取り除くために、猫は本能的に草を食べます。なぜ、草を食べると毛球が取れるかというと、草のとがった先が喉や胃を刺激し、吐き気をもよおすことで、対外に毛球を排出すことができるからです。

もし、家の中だけで猫を飼っているときは、家に猫草を準備するといいです。小さい植木鉢を購入し、そこで猫草を育てれば猫は勝手に食べてくれます。

実際の猫草は以下の写真をご覧ください。

中身を取り出すと、以下のようになっています。

一袋ずつ植木鉢にまき、水をやれば10日ほどで成長します。ただし、気候により猫草の成長時期が遅い場合もあります。猫草を準備するときは、このタイプが一番お手軽だと思います。

・食物繊維の豊富なフードを与える

キャットフードを変えてみるというのも方法です。世の中には、いろんな種類のキャットフードがありますが、その中でも「ヘアーボールコントロール」というのがあります。その名のとおり、毛球予防に特化したキャットフードです。

ヘアーボールコントロールは、食物繊維が豊富に含まれているのが特徴です。胃にたまった毛を食物繊維で包み、体外にスムーズに排出するよう助けてくれます。

写真のキャットフードには、「ヘアーボールコントロール」という表示がとても目立つ場所に記載されています。

「ヘアーボールコントロール」のように特化型ではありませんが、それ以外でも、毛玉の排出に配慮されているキャットフードもあります。

キャットフードのパッケージに「毛玉の排出」と目立つ表示があります。猫にも好き嫌いがあります。ヘアーボールに特化したタイプのキャットフードが苦手で食べない場合があったとしても、他にも適したフードはあります。いずれにしても、ポイントは食物繊維が豊富なものを選ぶことです。

胃にたまった毛が吐けないのは、猫にとってのストレスは大きいものです。それを、食事で改善できるのは、自然です。キャットフードを選ぶときに気を付けてみましょう。

一気に食べた時、急いで食べたことが原因で吐く

ただ、グルーミングとは関係ないことで吐き戻すこともあります。

猫は、食べ物を良くかまずに飲み込むように食べることがあります。このとき、胃の許容量以上のものを食べます。その後、胃の中のフードが消化吸収する際に水分を含み、胃の中で大きく膨らみ過ぎて吐き戻しをします。このようなケースは、我が家の飼い猫たちの中でも一番多く起こるケースです。

この場合は、ゆっくり良く噛んで食べることが改善策になります。ただ、猫に注意するよう言ったところで、伝わりません。このケースに対しては、飼い主が猫の食事環境を整えてあげることでうまくいきます。

飼い主がしてあげられること

・デコボコのフード皿に変更する

まずは、通常のフード皿ではなく、底がデコボコしたタイプのフード皿を活用してみましょう。なぜ、このフード皿が猫の吐き戻し防止になるのでしょうか。まずは、以下の写真をご覧ください。

通常のフード皿は、底が平らですが、このフード皿は底がデコボコしています。実際にキャットフードを入れると、このデコボコの間に入り込み、猫にとっては、大変食べにくいです。猫は一気にフードを食べることができずに、ゆっくり食べることになります。

食べにくさが、早食い防止につながるのです。もし、いつも慌てて一気に食べてしまう猫を飼っていらっしゃる方は、この方法を試してみると良いです。

・高さを調節する

次は、猫の食べる時の姿勢について案内します。猫にフードを与える際は、床の上に置くのが普通です。このケースでは、猫がうつ向いてフードを食べるため、キャットフードが胃に届くまでスムーズではないことがあります。

急いでフードを飲み込み、そのフードが胃に届く前に詰まり、吐き戻すことがあります。

その問題を解決するために、フード皿の位置を高くするという方法があります。そこで以下のような猫用テーブルを使います。

写真のテーブルは、床上6センチに設定してあります。ここにフード皿を乗せることで猫の食べるときの姿勢が良くなり、食べたフードがスムーズに胃に届くのです。その結果、詰まって吐き戻すことが起こりにくくなります。

このテーブルは床上4センチ、6センチと高さの調節が可能です。ちなみに、このテーブルの高さの目安は、猫が立った際の肩の高さを基準に、そこから約10センチ低い位置に設定すると良いです。(メーカーに確認済)

次に、フード皿を乗せた場合は次のようになります。

テーブルにフード皿を乗せたことでの改善点は下記の2点になります。

・デコボコのフード皿を使うことで、猫にとっては食べにくいためゆっくり食べるようになる

・フード皿の置く位置を少し高くすることで、猫が姿勢よくフードを食べることができる

次は、テーブルの工夫されている点についてお伝えします。以下の写真はテーブルを裏返した写真です。

テーブルの脚に滑り止めがついています。フード皿を乗せるテーブルが安定することで、良い姿勢で食べ続けることができます。このようなグッズをそろえるのも良いですが、もし別のもので代用をお考えの場合は、「猫の体格に適した高さのもの」「テーブルの底が滑りにくいもの」という2点に注意すれば良いです。

・フードを少量ずつ与える

次は食事の回数について考えてみましょう。猫に与える1日の食事の量は決まっています。例えば、成猫に1日あたり60グラムのフードを与えるのであれば、朝・晩2回に分けて30グラムずつを与えます。その場合、猫の胃が小さめで、食べたフードを消化する際に膨らみ、吐き戻す場合があります。

そのような場合、1回あたりのフードの量を30グラムから20グラムへ少なくして、1日に与える回数を3回に増やすと改善できる場合があります。

・食べ物の大きさに気を配る

次は、フードの粒について考えてみましょう。キャットフードの粒は、いろんな大きさ・形のものがあります。以下は例として、2種類のキャットフードを並べました。

左側のキャットフードは、12ミリの四角形です。右側は直径6ミリの円型です。猫は物を食べる際に、丸のみすることが多くあります。胃でフードを消化する際、フードの大きさはより小さいものの方がスムーズに消化されます。猫の体質により、胃の働きが弱い場合もあります。

そのようなときは、形の小さめのフードを与えてみると改善するかもしれません。また、「大きめのフードが好物で食いつきはよいが、食べた後に吐き戻して困る」という場合もあります。そのようなときは、大きめの好物のフードを小さく砕き、消化しやすくすることで吐き戻しを防ぐことができます。

猫は健康なときでも、頻繁に吐く動物です。吐いた後はケロッとしていても、嘔吐している姿を見ているのはつらいものです。しかし、少しでもその回数を減らすことができれば、猫にとっても、飼い主にとっても快適になります。

病気や体の異常を疑うときの嘔吐

次は、同じ猫の嘔吐であっても、病気や体の異常を疑わないといけない場合について考えてみましょう。

何度も吐き気がこみ上げてきているケース

猫は基本、胃の中の毛を吐き出してしまえばスッキリします。また、キャットフードを食べすぎて吐きも戻した際も、その後はスッキリした顔をしています。こうした場合は問題ありませんが、何度も吐き気がこみ上げている場合は体の異常のサインかもしれません。

まずは、毛球症という病気の疑いがあります。グルーミングで飲み込んだ毛が胃や小腸への入り口で毛玉になり、吐き出せなくなってしまったときに起こります。

この病気により、何度も嘔吐が起こることで、脱水症状を引き起こすこともあります。また、毛玉が腸で詰まってしまい、腸閉塞を起こす場合もあります。薬での治療ができないほど毛玉が大きくなった場合、手術をすることもあります。

そのような深刻な状況を避けるためにも早めに病院で診察をしてもらった方が良いでしょう。そしてなによりも予防が大事です。「ブラッシング」「猫草」「食物繊維の豊富な食事」に気を使いましょう。

吐いたものが液体の場合

猫がフードや毛を吐く以外にも、液体だけ吐く場合があります。液体の色が白・黄色・赤(茶褐色・少量の鮮やかな赤)の場合があります。それぞれの場合について説明をします。

・液体が白い泡や透明な場合

白い泡や透明な液体を吐くときは、胃液です。食事の前に吐くことが多くあり、これはお腹が空きすぎて胃液が溜まったことが原因です。頻繁に起こる場合、食事の間隔を短く調節すると良いでしょう。

・液体が黄色の場合

黄色の液体は胆汁です。吐くときは、胃液と混ざり色が分かりにくいケースもあります。何か色がついているとき、注意をしてみるようにしましょう。この胆汁は、十二指腸で分泌されるものです。胆汁が胃に逆流したときに胃液と一緒に胆汁が吐き出されます。

液体が黄色であると、胃炎、胃酸過多症、他にも内臓の炎症があるかもしれません。他に目立った症状として、例えば「食欲がない」「ぐったりしている」など嘔吐の頻度を観察し、病院で診察してもらいましょう。

・液体が赤(茶褐色、少量の鮮やかな赤)の場合

茶褐色の場合は、血液が胃酸の影響を受けたために起こります。この場合は、胃潰瘍、胃の粘膜のただれ、異物による胃の損傷などが考えられます。一方、少量ですが鮮やかな赤い血液が混じっている場合、尖った草で胃の粘液を傷つけてしまったことが考えられます。

茶褐色の液体を吐くときは、深刻な病気の場合が多いです。すぐに病院で診察してもらいましょう。「食欲がない」「ぐったりしている」「下痢をしている」など心当たりのあることを整理し、動物病院で診察してもらいましょう。

吐く以外に体調の異常がある時

猫が突然、頻繁に吐くようになって次のような症状に気が付いた場合は、すぐに病院に連れていった方が良いでしょう。例えば「食欲がない」「ぐったりしている」「痩せてきた」「おしっこの量が多い」などです。これらの症状では慢性腎不全になっているかもしれません。

慢性腎不全は猫の死因のNO1といわれており、6歳以上の猫に見られる病気です。このような体調の異常を感じたとき、病院に行き猫の症状を的確に伝え、治療を受けましょう。また、年1回の健康診断で、猫の体について把握しておくことも大事です。

吐いたものに異物(虫)が混じっている

猫が吐いた嘔吐物の中に、寄生虫が混じっていることがあります。私の経験ですが、野良猫を家猫として飼い始めた頃に、そのような経験をしました。嘔吐物の中に白い紐のようなものがピクピク動いていたため、病院に持っていき調べてもらい、それが寄生虫だとわかりました。

この寄生虫はマンソン裂頭条虫で、猫がヘビやカエルを食べたことで感染したようでした。寄生虫は駆虫剤を投与することで治ります。猫が寄生虫をもったままの場合、一緒に住んでいる人間の健康にも被害を及ぼすことがありますし、猫の健康も侵されます。早めに病院で治療を受けましょう。

まとめ

嘔吐は通常、体の異常を知らせる症状です。ただ、猫はグルーミングという習慣から、吐くこと事態は日常茶飯事にします。このことから、飼い主は猫の体が健康だけど吐くのか、それとも猫の体が病気になって吐くのかをきちんと観察しなければなりません。

吐いたものが、未消化のフードなのか、毛なのか、草なのか、液体なのかを見ておく必要があるのです。また、併せて猫の食欲、生活する様子、便やおしっこで変わったことがあるかどうかなども見ておけば、万が一の場合も速やかに病院へ行き、診察してもらうことができます。

また、猫も吐く動物とはいえ、嘔吐するのは大変です。なるべく猫の性質、体の特徴を見ながら、嘔吐を予防することも大事です。元気なうちから細やかに猫に気を配ることで、長く健康に過ごすことができるはずです。