猫の腸の中には人間と同じく、身体に良い影響を与える善玉菌、身体に悪い影響を与える悪玉菌、どちらでもない日和見菌が住んでいます。理想的なバランスは善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7です。

しかし、猫は肉食動物ということもあり動物性のタンパク質がメインフードです。そのため、腸内環境は、悪玉菌だらけになりがちです。

腸内環境が悪くなると、身体全体に汚い血液が流れるため、様々な病気を引き起こすことになります。つまり、猫の健康を維持するためには、腸内環境を良くすることがとても重要です。そのため、飼い主は、猫の腸内環境を理想的なバランスに保てるキャットフードを知っておく必要があります。

今回のお話は、善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌)の働きや善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌)入りのキャットフードについてです。

我が家には、8歳以上の猫が5匹います。高齢化により体調に問題が出てくる時期ということもあり、善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌)を積極的に与えるようにしています。

その甲斐あってか、4匹の猫については、健康そのものです。1匹は甲状腺抗促進症の病気を患っていますが、腎不全などの合併症になることもなく、元気に過ごしています。最近は体重も増えてきています。

乳酸菌は必ず摂取しなければならない栄養素にはなっていませんが、猫の健康を考えるなら、意識的に摂った方が良いでしょう。あなたの猫の免疫力を高め、アレルギーや、便秘、下痢を防いでくれます。猫の健康を願う飼い主にとって、乳酸菌を知ることはとても重要です。

乳酸菌やビフィズス菌について

猫の腸内には、善玉菌と悪玉菌、日和見菌が生息しています。

善玉菌と悪玉菌について

善玉菌とは、乳酸菌やビフィズス菌のことを言います。

乳酸菌とは、糖類から乳酸をつくる細菌で、多くの種類があり、ヒトや動物の腸内、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、漬物やお酒などの発酵食品に生息しています。自然界のいろんな場所で生息しています。

ビフィズス菌とは、乳酸の他に酢酸(さくさん)を作り出す細菌です。酢酸(さくさん)は、大腸内で大腸菌О―157の毒素を抑制する働きがあります。ビフィズス菌は乳酸菌のように自然界では生息していません。ヒトや動物の腸内、口腔内などにのみ生息しています。

乳酸菌やビフィズス菌は善玉菌と呼ばれ、ヒトや動物の身体の中で様々な働きをします。主な働きとしては、悪玉菌の増殖(ぞうしょく)・定着を防いだり、病気の感染を予防したりします。また、身体にとって有害なものを排出します。

悪玉菌とは、ウィルシュ菌、大腸菌、ブドウ球菌などのことを言います。中でもウィルシュ菌は、腸内のタンパク質を腐敗させて、有毒物質を作ります。猫はタンパク質メインの食事をしているため、腸内にウィルシュ菌が多く繁殖します。そのため、腸内のバランスが悪玉菌よりになる傾向があります。

ウィルシュ菌が優位になると、腸内が汚れ、腸が持っている免疫力が衰えます。また、腸が衰えることで、猫の老化を早め、がんを引き起こすことにもつながります。また、ウィルシュ菌の多い猫のウンチはとても臭いのが特徴です。

猫が健康で若々しく過ごすためには、腸内環境を善玉菌優位な状態にすることが重要です。

猫が乳酸菌を摂取したときの効果

次に、猫が乳酸菌を摂ることで、どのような良い効果を得ることができるのでしょうか。以下にその効果について説明します。

便秘を予防する

猫の腸内に悪玉菌が多いため、便秘を引き起こすことがあります。猫は肉食動物であるため、タンパク質を多く摂取します。タンパク質は分解され身体に吸収されますが、余ったものは腸内に送り込まれます。腸内に送られたタンパク質は悪玉菌のエサになるため、腸内環境が悪化します。

悪玉菌が増えると腸の運動する力が弱まり便が出にくい状態になります。悪玉菌から発生する毒素は肝臓や腎臓に負担を掛けたり、発がん性を持つ腐敗産物を多く作ったりします。

乳酸菌を摂取することで、腸のぜん動運動が促進され、毎日1回健康なウンチが出るようになります。更に、腸内環境の状態が善玉菌優位になると、腸内を酸性に保つことができ、悪玉菌を退治することができます。

軟便・下痢を予防する

便秘と同じ腸のトラブルに軟便・下痢があります。軟便・下痢は腸内で水分を吸収する力が低下したため、ウンチの水分量が増えてしまった状態をいいます。軟便・下痢の状態は、食べ物の栄養素が小腸で吸収されることなく、排出されてしまいます。

そのため、身体に栄養不足の状態になり、毛並みがバサバサになったり、老化が早まったりします。軟便・下痢を予防するためには、乳酸菌を多く摂り、腸内環境を善玉菌優位に整えてあげることが重要です。

免疫力が向上する

腸内に生息するビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌は、「身体の免疫力を高める」性質があります。免疫とは、体内に侵入した病原菌やウィルスを体外に排除する機能のことを言います。

一方、ウェルシュ菌などの悪玉菌は、免疫力を低下させます。そのため、腸内に悪玉菌が多い状態が続くと、様々な病気に感染したり、ガンを引き起こしたりします。

このように、腸内の生息する善玉菌と悪玉菌のバランスと免疫力は深い関係にあります。健全な免疫力を維持するためにも、善玉菌が優勢の腸内環境が必要です。

口臭や口内炎を予防する

猫の口腔内にもいろんな菌が生息しています。もし、あなたの猫の口臭が気になる場合は、口腔内に乳酸菌が少なくなっている可能性があります。

口腔内に悪玉菌が多く生息すると、口腔内が不潔になり、歯周病や口内炎を患うことになります。猫が歯周病になると、猫の口腔内は悪玉菌だらけのため、口が臭かったり、食事用のお皿がヌメヌメしたりします。

猫の口腔内に乳酸菌を含ませることで、善玉菌が優勢な口腔内を作ることができます。善玉菌が優位になれば、猫の口臭が気にならなくなります。

アレルギーの予防する

アレルギーとは、食べ物や花粉、ダニなど特定のものに対して過剰に反応してしまい、皮膚の炎症や鼻水、目のかゆみ、咳などの症状が生じる状態のことです。

アレルギーの発症には、腸内に生息する細菌が大きく関わっています。腸内が悪玉菌が多いと、腸内にある粘膜のバリア機能が弱まります。そうなると、アレルギーのもとになる食品が消化されずに腸の粘膜を通って体内に流れ込むことで、様々な不快な症状が発症します。

あなたの愛猫にアレルギーの症状がある場合は、乳酸菌を摂取し、腸内の善玉菌を増やすと良いでしょう。荒れた腸の粘膜が修復され、アレルギーの症状が改善します。

乳酸菌を常に身体に入れることで、腸内の環境を善玉菌優位の良い状態に維持することができます。その結果、アレルギーを予防することが出来ます。

猫に乳酸菌を与える方法

猫に乳酸菌を与える方法はいろいろあります。以下に紹介します。

乳酸菌の入った整腸剤を活用する

乳酸菌を猫に与える場合、猫用のサプリメントを使うのがお手軽です。他には、ヒト用のビオフェルミンを与えると良いでしょう。

ビオフェルミンは我が家の猫がお世話になっている獣医師から勧められました。ビオフェルミンは猫に与えても問題はありません。むしろ、便秘を予防するためにもしっかり与えた方が良いです。

ビオフェルミンはどこの薬局でも販売されており、価格は350錠で2,322円(税込み)です。

実際のものは以下の通りです。

実際の錠剤(じょうざい)は以下の通りです。

ビオフェルミンは、1日半錠~1錠が猫に与える目安です。最初は半錠だけ与え様子を見てみましょう。ウンチの状態が硬いようであれば、与える量を半錠から1錠へ増やすと良いでしょう。

錠剤を飲ませるのは難しいため、実際に与えるときは、錠剤をスプーンの背中で潰してフードに振りかけて与えています。匂いも味もしないため、抵抗なく食べてくれます。

ちなみに、錠剤をいちいち細かく砕くのが面倒であれば、細粒(さいりゅう)タイプがあります。粉になっているため使い易いのですが、薬局には錠剤タイプが主流になっているため、置いてないことが多いのが難点です。ネットで購入すると良いでしょう。

ビオフェルミンに含まれている善玉菌は、フェカリス菌・アシドフィルス菌・ビフィズス菌です。

フェカリス菌は、小腸に住み着きます。腸の中で増える力が強く、ビフィズス菌やアシドフィルス菌の増殖を助けます。また、アシドフィルス菌もフェカリス菌と同じく小腸に住み着きます。アシドフィルス菌は乳酸を多く作るため、悪玉菌の働きを抑えることができます。

一方、ビフィズス菌は大腸に住み着きます。乳酸と酢酸(さくさん)を作り、大腸内の悪玉菌を退治します。

乳酸菌入りのおやつを活用する

猫用のおやつには乳酸菌入りのものがあります。

以下は乳酸菌入りの「ちゅーる」です。

2種類の味(ささみ、マグロ)があり、どちらも猫の好む味付けになっています。

実際の中身は以下の通りです。

ペースト状なので食べやすく、小腹が空いたときに少し与えるには丁度良いです。

ただ、すべての猫がすぐ飛びつくかというと微妙です。生まれてからドライフードしか食べたことのない猫であれば、ちゅーるの食感は異質です。猫の警戒心が働き、なかなか食べてはくれないことがあります。慣れるまで根気よく与えるのがポイントです。

そのうち慣れてくれば、今度は逆に喜んで食べてくれるため、食べ過ぎに注意が必要です。我が家では、猫に与える目安は、1日に1~2本です。

ヨーグルトを活用する

猫の好みはいろいろで、私たちが通常食べるヨーグルトを好んで食べたがる猫がいます。その際は、砂糖入りではなく無糖のプレーンタイプを与える方が良いでしょう。実際に猫に与える量は、1回あたりスプーンに1~2杯ほどが目安です。与える頻度(ひんど)は、2~3日に1回です。

我が家には5匹の猫がいますが、ヨーグルトを食べるのは1匹だけです。

以下の写真のように、ウェットフードにヨーグルトをトッピングして与えています。

猫にヨーグルトを与える際の注意することは、乳糖が含まれている点です。猫は乳糖を分解する酵素が少ないこともあり、場合によっては下痢をすることがあります。

猫が好んで食べたとしても下痢になってしまうようなら、ヨーグルトを与えるのを止めた方が良いでしょう。ヨーグルトを与える際は、猫とヨーグルトとの相性を見ながら、与えるか止めるかを判断するようにしましょう。

乳酸菌入りのおすすめキャットフード

キャットフードもいろんな種類のものが販売されていますが、その中で乳酸菌が入ったものを紹介します。

オリジン 6フィッシュ

最初に紹介するのは、チャンピオンペットフーズ社から販売されているオリジンです。新鮮な太平洋の魚がたっぷり使ってあるキャットフードです。

原材料の一覧は以下のとおりです。

上記写真の赤枠部分がオリジンキャットフードの中に含まれる乳酸菌です。乾燥ラクトバチルスアシドフィルス菌発酵生成物、乾燥プロバイオティクス発酵生成物、乾燥ラクトバチルスカゼイ発酵生成物と記載があります。

乾燥ラクトバチルスアシドフィルス菌発酵生成物とは、ヒトや動物の腸内(おもに小腸)や口腔内、膣内に住んでいます。整腸効果が高いことや、外部から侵入した病原菌を退治する働きがあります。

乾燥プロバイオティクス発酵生成物とは、腸内に住む多種多様な腸内細菌のバランスを良くする作用を持った微生物のことです。下痢や便秘を防いだり、腸内の善玉菌を増やし悪玉菌を減らしたり、腸内の感染を予防し免疫力を回復させたりする効果があります。

乾燥ラクトバチルスカゼイ発酵生成物とは、腸内に生息している乳酸菌です。カゼイとはラテン語でチーズという意味で、チーズに付いた微生物を研究している時に発見された乳酸菌になります。他の乳酸菌と同じく、整腸作用、免疫を調整する効果があります。

オリジンキャットフードは、キャット&キティという鶏肉、鴨肉、天然魚味のものや、フィット&トリムという鶏肉、七面鳥、天然魚味のものがあります。どのタイプにも6フィッシュと同じ乳酸菌が含まれています。

あなたの猫の好みに合わせて選んであげると良いでしょう。

ブルーバッファロー シニア猫用(7歳以上)

次に紹介するのは、アメリカ産の自然派キャットフードのブルーバッファローです。新鮮で高品質な原材料を使っているのが特徴です。

パッケージは以下の通りです。

原材料の一覧は以下の通りです。

上記写真の赤枠部分がブルーバッファローに含まれている乳酸菌です。乾燥エンテロコッカス・フェシウム発酵産物、乾燥ラクトバチルス・アシドフィルス発酵産物と記載があります。

乾燥エンテロコッカス・フェシウム発酵産物には、腸の働きを整え、便秘を予防する効果があります。

乾燥ラクトバチルス・アシドフィルス発酵産物には、整腸効果の他に、外部から侵入してくる病原菌などに対して防御する効果があります。

ただ、腸内の環境を良くする効果のある乳酸菌は、腸内で育つ力が弱いこともあり、すぐにウンチの状態が良くなるとは限りません。乳酸菌入りのものを与えているにも関わらず、ウンチの状態がなかなか良くならないと感じることがあるかもしれません。

その様な場合、ブルーバッファローがおすすめです。乾燥黒麹菌発酵産物、乾燥トリコデルマ・ロンギブラキアタム発酵産物、乾燥バチルス・サブチルス発酵産物は乳酸菌のエサとなる発酵菌です。そのため、乳酸菌の増殖を助けます。

ブルーバッファローは、子猫用、成猫用、シニア用、室内猫用など、ライフステージや活動量に合わせた商品構成になっています。どのキャットフードにも、乳酸菌とそのエサが含まれています。あなたの猫の年齢に合わせたキャットフードを選んであげることができます。

ナウ(シニア猫用 体重管理用)

最後の紹介になるナウはカナダ産のキャットフードです。原材料はフレッシュな魚をメインに野菜、果物、ハーブが配合されているため、ビタミンが豊富に含まれています。さらに、野菜や果物などの栄養素を引き出すために、90℃の低温でゆっくり調理されています。

パッケージは以下の通りです。

原材料の一覧は以下の通りです。

上記写真の赤枠部分がナウに含まれている乳酸菌です。乾燥ラクトバチルス・アシドフィルス発酵生成物、乾燥エンテロコッカス・フェシウム発酵生成物と記載があります。

先のブルーバッファローに含まれている乳酸菌と同じものです。腸内の環境を良くする効果、病原菌を退治する効果があります。

ナウのキャットフードは、キトン(子猫用)、アダルトキャット(成猫)、シニアキャット&ウェイトマネジメント(シニア猫、体重管理用)があります。年代別や活動量を見ながら、あなたの猫に合ったものを選ぶことができます。

3種類のキャットフードは、どれも我が家の猫にローテーションで与えているものばかりです。5匹の猫それぞれに好みはありますが、総じて食いつきは良いです。気になるウンチの状態も、ふっくらとした茶色の健康なウンチです。臭くて困るということもありません。

乳酸菌は必須の栄養素ではありませんが、しっかり与えることで、猫の健康を維持することができます。

まとめ

猫はタンパク質の量が多い食事を必要としています。タンパク質は悪玉菌のエサになるため、猫の腸内環境は悪玉菌が多く繁殖します。

悪玉菌は有害なガスや物質を出すため、腸内で増えすぎると、猫の健康を損ねてしまいます。そのため、乳酸菌を摂取し、腸内環境を整える必要があります。

乳酸菌は、便秘や下痢を防ぐ効果だけでなく、猫の身体の免疫力を上げる効果があります。腸内環境を整えて置けば、がんや免疫疾患、アレルギーなどの病気を防ぐことができます。

乳酸の摂取方法については、おやつや乳酸菌の整腸剤、ヨーグルトを活用する方法があります。あなたの猫に合った方法を選ぶと良いでしょう。

乳酸菌入りのキャットフードは最近増えています。キャットフードに含まれているのは、乳酸菌だけ入ったものもありますが、乳酸菌のエサになる発酵菌(はっこうきん)も一緒に含まれているものがあります。

猫の腸内環境によっては、乳酸菌だけ入っていても改善するのに時間がかかる場合があります。その際は、乳酸菌のエサが入ったブルーバッファローを選ぶと良いでしょう。乳酸菌と乳酸菌のエサが含まれているため、腸内の乳酸菌が効率的に増えます。