猫の先祖は砂漠にいたこともあり、たくさんの水分を摂らなくても大丈夫な体のしくみになっています。しかしそのことが原因で、猫の尿は凝縮されて濃くなり、尿結石や膀胱炎、慢性腎不全など泌尿器系の病気になりやすいです。

特にオス猫の尿結症については年齢にかかわらず発症します。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。それは、オス猫とメス猫では体の構造の違いがあるからです。

オス猫の体は、膀胱から尿道口までの間をつなぐ尿管がメス猫よりも長く、先にいくに従って細くなっています。このため、腎臓や膀胱でできた結石や結晶が尿管や尿道を傷つけたり、尿管に詰まって炎症を引き起こしたりします。

一方でメス猫は、オス猫よりも尿管が太いことや、尿道口への距離が短いことから、結石ができたとしても体の外へ排出できることが多いです。そのため、尿結症で治療を必要とするケースはオス猫よりも少ないのが現状です。

ただ、オスでもメスでも猫は尿を濃縮するという体の機能を持っています。食べ物に含まれるミネラル、カルシウムが多いと凝縮された尿の中で結晶や結石が作られやすくなるのです。尿のトラブルが深刻な場合、死を招く場合もあります。

飼い主は猫の体の構造を理解し、日ごろからの生活習慣や与えるキャットフードに気を配ることが大事です。今回は、「尿結症」の予防を中心にお伝えします。

猫に生じる2つの尿結症

猫がかかりやすい、尿結症は「ストルバイト結石症」と「ショウ酸カルシウム結石症」の2つがあります。それぞれについて説明します。

・ストルバイト結石症

ストルバイトを別名リン酸マグネシウムアンモニウムとも呼びます。リンやマグネシウムが結石化する病気です。猫の尿路結石では最も多いケースです。尿がアルカリ性に傾くことでできます。1歳から6歳までの成猫に多くみられます。

・ショウ酸カルシウム結石症

カルシウムが結石化する病気です。尿が酸性に傾くことでできます。7歳からの高齢猫、12歳からの老齢猫に多くみられます。

・結石を生じる理由

結石ができる原因について整理しましょう。主な原因は下記の5つです。

1.マグネシウムやリン、カルシウムなどのミネラルの過剰摂取

2.猫の正常な尿は弱酸性だが、尿のPHバランスが崩れることで、尿がアルカリ性(または強い酸性)に傾く

3.水を飲まないことで尿が凝縮され、マグネシウム、リン、カルシウムが結晶・結石化する

4.環境によるストレスが原因となる場合(トイレを我慢することでマグネシウムやカルシウムが結石化するなど)

5.運動不足により、尿がアルカリ性に傾く

尿結症の予防策について

ここでは、先にお伝えした尿結症の原因と予防策について詳しくお伝えします。具体的な予防法としては主に5つが知られています。

尿結症予防に適したキャットフードを与える

尿結症予防のキャットフードにはさまざまなものがあります。例えば、以下のタイプのように「下部尿路の健康」と表示のあるものを選ぶとよいでしょう。

キャットフードは年齢別で作られているケースがほとんどです。

例えば、1歳から6歳の成猫は、ストルバイト尿石にかかるケースが多いため、マグネシウム量が調整されています。

また、7歳から12歳の高齢猫、12歳以降の老齢猫に対しては、ショウ酸カルシウム尿石にかかるケースが多くなります。マグネシウム量に追加して、カルシウム量までも調整されたものが作られています。

猫を一匹だけ飼っている家庭や、複数の猫がいてもほぼ同じ世代の猫がいる家庭では、上記のような年齢適応型のキャットフードを選ぶと良いでしょう。

一方で、さまざまな世代の猫を複数飼っている家庭ではどうすればよいのでしょうか。我が家の猫も12歳以上が3匹と6歳が2匹います。それぞれに年齢適応型のキャットフードを与えても、老猫が成猫用のものを食べることもあれば、その逆のパターンもあり、思うようにならないことがありました。

そのような家庭の場合は、以下のような、子猫からシニア猫まで対応型のキャットフードを選ぶのが良いでしょう。

このキャットフードでは、尿結症予防としてクランベリーが含有されています。「クランベリー含有=結石対策できる」と考えてください。

クランベリーは、以下のような深紅色の小さな果実で、酸味が強い食べ物です。

なぜ、クランベリーが猫にとってどのような良い効果をもたらすのでしょうか。クランベリーの中に含まれる主な3つの成分が体に良い理由として考えられます。3つの成分は、キナ酸、プロアントシアニジン・アントシアニン、ビタミンCです。これにつて、詳しく説明します。

キナ酸は体内で吸収されると肝臓で変化し、馬尿酸になります。これが、膀胱内で尿を酸性に保つ働きがあります。猫の尿がアルカリ性に傾くことでストルバイト結石症を引き起こすことになります。そこで、キナ酸が尿のPHを適正に保つのです。

プロアントシアニジン・アントシアニンは果実由来のポリフェノールです。これにより、活性酸素の働きを抑えることができます。活性酸素が増えることで、動脈硬化による肥満やがんの発症、老化、体の機能低下、免疫の低下による細菌感染につながります。この成分を摂取することで健康のバランスを取ることができます。

また、猫の体はビタミンCを合成する機能を持っています。しかし、この合成能力には限界があります。加齢やさまざまなストレスから合成能力が低下する場合もあり、ビタミンCが不足することがあります。

ビタミンCは、「抗ストレス反応のホルモン生成」に欠かせない成分です。ビタミンCを摂取することで、さまざまなストレスにも対抗することができるのです。

クランベリー入りのキャットフードを与えることで、上記のような効果があります。尿結症の場合で考えると、「原因となる尿のPHバランスの崩れを適正化する」「活性酸素の働きを抑える」「ストレスを緩和する」などのメリットがあることがわかります。

ちなみに、我が家の猫にはこのようなキャットフードを与えており、今のところ尿結症によるトラブルは発症していません。
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与えない方がよい食品について

通常の食事で与えるキャットフードをしっかり吟味したとても、おやつで猫の尿結症を発症する恐れがあります。以下の食べ物は猫の大好物です。つい与えたくなりますが、猫の体を考えると与えない方がよい食材です。

・煮干し

煮干しにはマグネシウムやリンが多く含まれています。猫にとっては塩分も高めです。塩分は腎臓や心臓に負担をかけます。

・海苔

焼き海苔はマグネシウムが豊富です。また、味付け海苔は、濃い味付けで塩分も高めです。煮干しと同じく、猫の体には負担になりますので、与えない方がよい食材です。

・かつおぶし

マグネシウムを多く含んだ食材がかつおぶしです。猫にかつおぶしといいますが、実際は与えない方がよい食材です。

煮干し、海苔、かつおぶしをおやつとして与える場合があると思います。ほんの少しだけ与えるつもりが、ねだられると結果的に毎日与えてしまうこともあるでしょう。いくら吟味したキャットフードを与えたとしても、そうなるとマグネシウムやカルシウムの過剰摂取につながります。

猫の年齢や体にあったキャットフードを適量与えることで、栄養バランスは十分足りています。猫の健康を一番に考え、無駄にバランスを崩すおやつは与えないよう気をつけましょう。

水分を充分摂取する

水が不足すると、カルシウムやミネラルが腎臓や膀胱で固まりやすくなります。そうならないためにも、多く水をのみ、尿を薄めることが重要です。いつでも水を飲みやすいように、家の中に水飲み場を何か所か作りましょう。

水を与えるときはカルシウムやミネラル豊富な硬水を避け、家庭の水道水を与えましょう。日本の水道水は軟水ですから、猫の体にやさしい水です。

また、猫は大変きれい好きで、清潔な水を好みます。水入れは常に清潔に管理し、朝・夜と2回は水を変えましょう。もし一日2回の水交換が難しい場合は1回でも構いません。水は毎日入れ替えをしましょう。

ストレスのない環境をつくる

・トイレの環境整備

猫は汚れたトイレを嫌います。トイレが排泄物で汚れていると、トイレを我慢して行かなくなります。その結果、膀胱の中の尿が溜まったままになり、カルシウム、ミネラルが結石化してしまいます。

設置する猫のトイレの数は「猫の頭数+1」が理想です。猫が使いたいトイレが汚れていたとしても、他にあれば我慢をすることはありません。使いたいときに使えるように工夫をしましょう。

またトイレの設置場所は、静かな場所、猫が行きやすい場所に設置すると良いでしょう。猫がリラックスして使えるようにしましょう。

私の家では2か所にトイレを設置しています。

以下は、2階の物置部屋を猫のトイレ設置場所にしてあります。4つトイレが並んでいます。

以下は、同じく2階の奥にある空いた部屋をトイレ設置場所にしてあります。

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我が家の飼い猫は5匹ですから、頭数+1で考え合計6つのトイレを設置してあります。2階は人がいないので、猫にとってはゆっくりトイレをすることができます。また、トイレの清潔を保つために、週一回はトイレを洗い、シート、猫砂の交換をしています。

・同居猫との相性

同居猫との相性にも気を配りましょう。猫も人間同様に、お互いの相性があります。相性が合わない猫同士の場合、立場の弱い猫がストレスを抱えることになります。こんなときは、部屋を隔離するなど生活空間を分ける工夫をし、お互い顔を合わせる回数を減らす工夫をしましょう。

運動不足にならない工夫をする

・運動の必要性

運動することで、体内に乳酸が作られます。その乳酸により、尿が酸性に傾きます。尿がアルカリ性に傾くことでストルバイト結石症になります。尿のPHを酸性に戻す働きが運動にあるのです。

また、適度な運動をすることで、体の内臓の働きも良くなりますし、喉も渇きます。結果的に水をよく飲むことにつながり、体からミネラル、カルシウムが適度に排出されます。

・猫の運動

猫は、犬のように散歩をする必要ありません。それでは、どのように運動を促せばいいのでしょうか。このとき、高さ移動が重要になります。つまり、階段の昇り降りのような上下運動ができる環境に家を変えるようにしましょう。

階段がないマンション住まいの猫の場合は、棚で高さを作ることや、キャットタワーを設置するとよいでしょう。

一般的には、以下のようなキャットタワーがホームセンターに売られています。

この商品の大きさは、横幅57センチメートル、奥行き45センチメートル、高さ52センチメートル 重さ18キログラムです。部屋に置いても威圧感のない大きさです。そのほかにも、さまざまな大きさのタイプがあります。

尿石症の症状について

尿石症にならないための予防法について案内しましたが、猫の体質はさまざまです。原因を取り除いたとしてもいろんな要因が重なり、尿石症になる場合があります。尿石が尿道につまり、尿道閉鎖を引き起こした場合、猫は1日のうちに死んでしまうこともあります。おかしな症状があればすぐに動物病院で診察を受けましょう。

尿結症の具体的な症状は下記のとおりです。

・何度もトイレに入ったり、出たりする

・トイレ以外でも尿をする

・お腹や尿道口をよく舐める

・血尿(ポタっと1滴落ちた尿が赤い)

・トイレで鳴く、トイレに長い時間いる

・お腹を触ると嫌がる

以前、私の家に居た猫が尿石症で膀胱炎を発症した際に、このような症状でした。尿結症は、「尿にキラキラしたものが見える」といいますが、気づくことは難しいように思います。結果的に膀胱炎になるまで気が付きませんでした。猫は我慢強く症状を隠すため、発見が遅れることがあります。

もし様子がおかしいと感じたら、すぐに動物病院に行った方がよいです。膀胱炎で病院の診察をうけたあとの処置としては、抗生物質の投薬で治ることができましたが、それまでは大変苦しそうでした。

緊急を要する状態の場合もあるため、お医者さんの適切な処置を受けることが猫の命を救います。

まとめ

猫の体は尿結症になりやすいつくりになっています。猫が1歳を迎えたときから、予防を心がける必要があります。

予防となるキャットフードは、各年代別で「下部尿路の健康」と表示のあるもや、クランベリー入りの「子猫からシニア向け」のものまで選択肢はたくさんあります。飼い猫の頭数や好み、年代でそれぞれ合ったものを選ぶようにしましょう。

水をしっかり飲むこと、トイレを我慢させないことは、腎臓や膀胱でカルシウム・マグネシウムが凝縮するのを防ぎます。また、猫はきれい好きという性質があります。飼い主は水入れを清潔に保ち、トイレを清潔にするなどの環境整備を行い、無駄なストレスを与えないことが重要です。

食べすぎは、カルシウム・マグネシウムの過剰摂取や肥満を招きます。そこで適度な上下運動で気晴らしをして、体全体の循環を良くすることが大事です。

ただ、こうした尿結症の予防をしても、病気を発症することがあります。緊急を要しますので、病気になったときは動物病院へ行き、診察してもらいましょう。またその後のキャットフードは、猫の症状にあったものを与えましょう。