猫の平均寿命は14.2歳です。(アニコム損保:アニコム家庭動物白書2017より)猫の年齢を人間の年齢で置き換えると、14.2歳は72歳ほどになります。一般的に、猫が1歳になるころは人間の20歳ぐらいになり、その後1年に4歳ずつ年をとる計算で考えます。

そうなると、猫の7歳が人間の44歳ほどになり、「シニア猫」と呼ばれるようになります。実際に、身体に不調があらわれる時期になるため、注意が必要になります。

例えば、7歳以上、11歳以上、14歳以上などのキャットフードは、シニア猫の体調に合わせ、塩分やミネラルが調整されています。

しかし、一般的に、7歳以上になれば体調に変化が見られ、老化のきざしが見られる猫もいれば、そうでない猫もいます。猫の老化は、生活環境や栄養状態などで、大きく違ってくるものです。

今回は、年齢別のキャットフードの違いと、シニア猫の身体の特徴などをお話しします。あなたの猫の老化の状態を知り、適したキャットフードを選んであげれば、今後の健康、長生きにもつながります。

シニア猫とは

一般的に猫が7~10歳ごろになると、老化のきざしが感じられるようになり、シニア猫と呼ばれます。家の中で飼っていると、栄養状態もよく、あまり過酷なストレスを感じなければ、あまり老けた印象を感じないこともあります。人間と同じく、猫も老化の速度には個体差があり、老けてのんびり穏やかな猫もいますが、好奇心が強く、走り回るのが好きな元気いっぱいの猫もいます。

このように、シニア猫といってもいろいろあることがわります。ここで一旦、猫の年齢を人間の年齢に置き換えてみましょう。そうすることで、シニア猫をリアルに感じることができます。

猫の年齢を人間の年齢に置き換えると

猫を人間の年齢に換算すると以下のようになります。

・猫の1年目⇒人間の年齢では、15~20歳

・猫の2年目⇒人間の年齢では、24歳

・猫の3年目⇒人間の年齢では、28歳

猫は、1年に4歳ずつ年を取ります。

・猫の7~10年目⇒人間の年齢では、44~56歳(シニア猫)

・猫の11~14年目⇒人間の年齢では、60~72歳(高齢猫)

・猫の15~19年目⇒人間の年齢では、76歳~92歳(老齢猫)

・猫の20年目を人間の年齢に換算すると96歳(超老齢猫)

このように、人間の年齢に置き換えてみると、なんとなく猫の状態をイメージすることができます。シニア猫になったといっても、急にガックリと歳をとるわけでは、ありませんが、動きがモッサリして、ゴロゴロすることが多くなったり、毛の張りが無くなってきたような気がしたりします。猫によって老化のきざしに違いはありますが、意識して観察すると、少しずつ度の猫も老化を感じるようになります。

その後、11歳以上になり、高齢猫になってくると、がっしりとしていた身体がぷにぷにしてきます。加齢とともに、身体の筋肉が減ってしまうためです。高いところに上ろうとして、足を滑らしたり、階段を上る際のスピードがゆっくりになったりします。

実際に見られる、いろいろな「猫の老化のサイン」を以下にまとめてみました。

  • 猫の毛づくろいをする回数が減ってきた
  • 黒猫のように色が濃い猫の顔(口や目のあたり)に白髪が見られる
  • がっしりしていた身体がぷにぷにとした感触になる(筋肉が減った)
  • あまりおもちゃで遊ばなくなった
  • 家の中をパトロール
  • 足腰が弱ってきた、関節が痛そう
  • 暑さ、寒さに弱くなる
  • 歯が弱ってくるため、食事の速度がゆっくりになる
  • 便秘をするようになる

我が家の猫たちは、10歳、16歳、21歳と高齢化しています。加齢による衰えは、猫によってそれぞれ違います。共通する老化の兆候としては、活動量が少なくなったことです。元々活発な猫は少し落ち着き、元々まったりした猫は、よりまったり過ごすようになります。

以下は、我が家の15歳のオス猫の写真です。写真を見ると、加齢とともに目の周辺に白髪が出てきたことが確認できます。

老化による変化に気付き、猫の身体にあったキャットフードを選んであげることが重要になります。

さて、キャットフードは、猫のライフステージに沿っていろんな種類のものが作られています。年齢別のキャットフードを見ると、猫には年齢と同じものを与えなければならないような気になってしまいます。しかし、実際はそうではありません。

重要なことは、年齢別のキャットフードの特長を飼い主であるあなたが理解すること、そして猫の老化のサインを見逃さないことです。

それでは、まずはじめに年齢別のキャットフードの違いから学びましょう。

キャットフード年齢別の違い

キャットフードは、7歳以上のシニア期以上になると、「〇〇歳以上の猫用」と年齢指定のあるキャットフードが数多くあります。各キャットフードにはどのような特長があるのでしょうか。

以下は、ペットフードの販売メーカーであるヒルズコルゲートの各年齢別キャットフードの栄養成分を比較したものです。

栄養成分 1歳から6歳

乾物量分析値()

7歳以上

乾物量分析値()

11歳以上

乾物量分析値()

たんぱく質 33.7 34.0 33.7
脂質 10.9 10.0 18.6
粗繊維 1.6 1.1 1.4
炭水化物(NFE) 48.0 49.0 40.9
カルシウム 0.85 0.95 0.80
リン 0.75 0.60 0.70
ナトリウム 0.44 0.36 0.35
カリウム 0.74 0.87 0.71
マグネシウム 0.094 0.077 0.083
タウリン 0.24 0.24 0.21
カルニチン 505.1 ppm 549.8 ppm
ビタミンC 109 ppm 107 ppm 153 ppm
ビタミンE 582 IU/kg 600 IU/kg 1001 IU/kg
オメガ‐3脂肪酸 0.84 0.64 0.93
オメガ‐6脂肪酸 2.90 2.51 3.79

シニア以上のものだけでは違いが分かりにくいため、1~6歳の成猫用と比較してあります。各年齢ごとのキャットフードの栄養成分を並べてみると、違いになる部分はそれほど多くないことがわかります。ただ、11歳以上になると消化機能が落ちてくるため、脂質と炭水化物のバランスに変化があります。

その他の違いのあるものについて、以下にまとめます。

カルニチン

猫が活動するためのエネルギー源として、脂肪はとても重要です。カルニチンは、体内に取り入れられた脂肪を燃焼するサポートをします。つまり代謝をアップし、肥満を防ぐ役割があります。

上記の栄養成分を確認すると、1~6歳のキャットフードにはカルニチンの表示がありません。メーカーに確認したところ、1~6歳は動きが活発なため、筋肉の働きをサポートするカルニチンを更に加える必要がないことから表示成分に含まれていないとのことでした。

ただ、1~6歳のキャットフードの中で、「肥満猫用ライト」には、カルニチンが含まれています。若くても太っている猫は、慢性的な運動不足になっているため、摂取した食べ物が消費されずに体にどんどん蓄積されます。そのため、運動するのがしんどくなり、さらに運動をしなくなるという悪循環になりがちです。

そのため、カルニチンが多く含まれた「肥満猫用ライト」を与えることで、代謝アップにつながり痩せることができます。

高齢になると、運動量が減り筋肉が衰えてきます。そのため、代謝が落ち、太りやすくなります。カルニチンを摂取することで、運動機能が衰え活動量の減った高齢猫の肥満を防ぐことができます。

ビタミンC

ビタミンCは水に溶ける「水溶性ビタミン」です。ビタミンCは過剰になれば、尿として体外に排出されるため体に蓄積されません。基本的に猫は自らの体内でビタミンCを合成することができます。ただ、高齢化により身体の機能が衰えることで不足することがあるため、11歳以上のキャットフードには通常より多くのビタミンCが含まれているのです。

では、ビタミンCは、身体の中でどのような働きをするのでしょうか。ビタミンCの主な役割は、身体の酸化を防ぐのが最大の働きです。猫は高齢になると、身体の中に活性酸素が増えてどんどんサビていきます。すると、内臓の働きの鈍りから病気を引き起こしたり、関節の消耗から関節炎を患ったりして、身体がドンドン不健康になってしまいます。

そのような状態を防ぐ働きがビタミンCにはあります。つまり、高齢猫がビタミンCを摂取することで、身体をフレッシュな状態に維持することができるのです。

ビタミンE

ビタミンEは脂に溶ける性質を持つ「脂溶性ビタミン」です。ビタミンEは、ビタミンCのような水溶性ビタミンと違い、体内に過剰に蓄積されても尿と共に体外に排出されません。そのため、過剰な摂取は、猫にとって毒となります。キャットフードであれば、分量が調整されているため、過剰摂取の心配はありません。

ビタミンEはさまざまな効果があります。その中で最も優れた効果に、免疫力をアップする働きが挙げられます。この免疫力というのは、病原菌やウィルスなどの身体に悪影響を与えるものから身体を守る力のことです。免疫力が正常に働いていれば、健康を維持することができます。

一方、加齢やストレスで免疫力が下がってしまえば、ウィルスが体内に入り込み炎症を引き起こしたり、がんなどの大病を招いたりすることがあります。

そのため、免疫力が衰える高齢猫が、適切な量のビタミンEをしっかり取り入れることはとても重要です。

年齢別キャットフードについてまとめ

1~6歳までのキャットフードと7歳以上のキャットフードを比較すると、目立った差はありません。一方、11歳以上になると、抗酸化成分であるビタミンCや免疫向上成分であるビタミンEの含有量が増えます。

猫の加齢による衰えは個体ごとにバラバラですが、11歳を過ぎるころからは徐々に運動量が減ってくるのが一般的です。愛猫が、15歳、20歳まで元気で過ごすためにも、猫の身体の状態にあったものを与えることが大事です。

シニアキャットフードの特長とおすすめフード

猫の老化の進み具合は、個体によってバラバラです。そのため、シニアの仲間入りをする7歳頃からは、健康状態や体調の変化を良く観察しましょう。老化のサインを感じたら、それに合わせたキャットフードに切り替えるようにする必要があります。

あなたの飼い猫が標準的な老化よりも早いか遅いかは、飼い主のあなたにしかわかりません。キャットフードに書かれた「〇〇歳以上」という表記は、キャットフードを選ぶときの目安にはなりますが、猫の様子を観察して、状況に合わせたものを選ぶ方がより効果があります。

それでは、代表的な老化のサインとそれに合わせたおすすめのキャットフードについて紹介します。

顔周りに白髪が出てきた、毛艶が悪くなってきた

あなたの飼い猫の毛並に艶(つや)がなくなってきたり、顔周りの毛に白髪が出てきたりしたら、老化のサインです。人間で言うところの、40歳を過ぎると白髪が目立ち始めるのと同じことです。もし、あなたの猫の毛並に老化のサインが見え始めたら、7歳以下だとしてもシニア用のキャットフードをおすすめします。

見た目はまだまだ元気な猫でも、白髪が混じると年を取ったなと感じます。白髪が出るのは、内臓の働きが徐々に衰え、栄養の吸収が悪くなっていることが原因の一つです。また、栄養の吸収が悪ければ、免疫力が落ちてしまい病気を招くことがあります。そのため、今まで与えていたものが1歳~6歳までの成猫用であれば、栄養の吸収を考慮して、7歳以上の高齢猫用に変更することをおすすめします。

身体の手入れをあまりしなくなった、またはあまり遊ばなくなった

猫が高齢化することで、脳の認知機能が徐々に衰えます。もし、あなたの猫が身体を舐めて手入れをするグルーミングをしなくなったり、遊びに誘っても関心を示さなくなったりしたら、脳の働きに有効な成分が含まれたキャットフードがおすすめです。

猫は元々とてもきれい好きです。そのため、一日のうちに何回も毛繕(けづくろ)いをします。ただ、加齢とともに身体の柔軟性が失われたり、身体の手入れが面倒になったりすると徐々に毛繕いする回数が減り、艶が失われてしまいます。

また、猫は高齢になると認知症になることがあります。これは、人間が年を取り認知症になることと同じです。原因として、脳に必要な栄養が回らず、認知機能に衰えが生じるため起こると考えられます。上記の11歳以上のキャットフードには、脳の働きを助ける成分が含まれています。

以下は、11歳用のキャットフードの裏面の写真です。

認知機能の衰えは、15歳を過ぎれば自然なことですが、あなたの猫が、まだ若いにも関わらず、遊ばなくなったと感じたら、11歳以上用のキャットフードを試してみることをおすすめします。

好奇心旺盛な挙動は、猫の魅力のひとつです。飼い主として、いつまでも猫の魅力を損なわないようにしたいものです。

活動量が減り寝ていることが多い、または関節の動きが悪い

猫は高齢化することで、徐々に活動量が減ります。そして、高齢猫は、歩いている姿をよく見ると、後ろ足を引きずりながら歩いていることがあります。人間も高齢になると足腰が弱って、階段の昇り降りで膝が痛くなったり、腰が痛くなったりするのと同じです。

ただ、高齢猫の足を引きずっている仕草は、糖尿病のような「身体の中の病気」の可能性があるため注意が必要です。まずは、動物病院で大きな病気が隠れていないか確認をしましょう。そして、高齢猫の足を引きずる様子が加齢による関節の衰えが原因となる場合、関節ケア用の成分が含まれたキャットフードがおすすめです。

14歳以上用のキャットフードには、関節をケアするための成分が含まれています。以下はキャットフードの裏面の説明部分です。

高齢化すれば、膝・関節も経年劣化(けいねんれっか)します。バランス良く栄養を与えていても、長年使い続けた骨に負担が掛かり、衰えてしまうのは自然なことです。ただ、関節が痛ければ、高齢猫は動くのを嫌がり運動しなくなります。つまり、軽やかに動くことができれば、運動不足による老化を防ぐことができます。

もし、あなたの猫の動きにぎこちなさを感じたら、14歳以上用のキャットフードをおすすめします。

「便秘がち」になってきた

高齢化してくると、若い時と比較すると活動量が減ります。それに伴い、内臓の動きが衰え、便秘になるケースがあります。もし、あなたの猫のウンチが若い時よりも小さくなったり、コロンコロンとしたウサギのウンチのようになったりしたと感じたら、水分をたっぷり含んだキャットフードがおすすめです。

ただ、高齢猫の場合、便秘の症状があるときは、慢性腎不全(まんせいじんふぜん)の可能性があります。まずは、動物病院に行き確認をしましょう。そして、病気ではないけど、「便が小さい」「コロコロしている」など乾燥ぎみのウンチであるなら、1日2回与える食事の内の1回をウエットタイプのキャットフードに変更すると良いでしょう。以下は高齢猫用ウェットフードです。

実際のウェットフードは以下の通りです。

ドライタイプのキャットフードの水分含有率は、10%以下です。一方、ウェットタイプのキャットフードは70%~80%が水分です。便秘を防ぐためには、水分の摂取を増やすことが必要です。ウェットフードにすることで、猫は自然に摂取する水分を増やすことができます。水分が含まれた食事を摂ることで、腸内の水分が増えウンチの質感がふっくらし、出やすくなります。

もし、あなたの猫のウンチが若い時よりも量が減ったと感じている場合、おすすめです。

ウェットフードに切り替えた時の注意点

もし、ウェットタイプのキャットフードに切り替えるときは以下の点に注意しましょう。

・切り替えは少しずつ行う

ドライタイプのキャットフードを食べ続けている猫に、突然ウェットフードを与えても食べないときがあります。食感が違うため、猫が警戒することがあるためです。ただ、そんな時でも全く焦る必要はありません。少しずつ工夫し与えれば大丈夫です。

我が家でも、14歳と19歳の猫が「便秘がち」になり、最近ドライフードからウェットフードへ切り替えをしました。上記の写真のままでは嫌がって食べてくれませんでした。そのため、フードプロセッサーで練り状にしてみることにしました。練り状にすると以下のようになります。

練り状のものは通常のものよりも匂いが強くなります。その香りに誘われ、猫は食べ物だと関心を持ち食べだします。一度気に入れば、次からは食べ物という認識ができ、難なく食べます。

実際に食べている様子は以下の通りです。

初めからたくさんは食べないため、一口程度からはじめると良いでしょう。ウンチの状態ですが、水分を含んだふっくらしたものへ変化するまで2週間ほどの期間が必要です。焦らず、様子を見守りましょう。

・ウェットフード開封後は冷蔵庫で保存する

ウェットフードには防腐剤が入っていません。そのため、保存するときは注意が必要です。ウェットフードは、人間の食べ物で言うところの「お刺身」と考えると良いでしょう。生もののため、常温で長く放置すると腐り出します。

猫にウェットフードを与えるときは、開封後20分以内を目安にしましょう。それ以上放置しておくと、表面が乾燥し風味がなくなります。また、防腐剤が入っていないため腐敗したり酸化したりします。残したと判断し、すぐに片づけてしまいましょう。

猫に与えない方のウェットフードは、封をしてすぐに冷蔵庫に保存しましょう。

まとめ

猫の老化は個々で違います。一般的に7歳以上になると老化のサインが見られます。ただ、最近は栄養状態が良い猫が多く、10歳ぐらいまでは若々しく過ごしています。

もし、1歳~6歳用のキャットフードを与えている時に、あなたの猫に老化のサインを見つけたら、徐々に高齢猫用のキャットフードに切り替えると良いでしょう。

高齢猫用は、7歳以上用、11歳以上用、14歳以上用といろいろなタイプがあります。それぞれ、代表的な老化のサインに合わせた成分が含まれています。

あなたの猫の年齢に合わせたものを選ぶより、老化のサインに合わせてキャットフードを選ぶのが効果的です。そのためには、飼い猫の様子を日ごろから観察することが大切です。

猫が高齢化することでうっかり見逃すのが便秘です。2~3日ウンチが出ないほどの重い症状ではなくても、若いころよりウンチが小さくてコロコロした状態は慢性的な便秘が考えられます。このようなときは、水分摂取を増やすことが大事です。

ただ、猫が簡単に水を飲みだす訳ではないため、ウェットタイプのキャットフードを取り入れるのが最も自然で簡単な方法です。

人間よりも寿命の短い猫は、気が付けば老化のサインが見え始めます。高齢になると身体のあちこちが経年劣化のため不都合なことが起こるのは自然なことです。

ただ、日々の食事を見直すことで、わずかながらでも老化を食い止めることができます。あなたの猫がいつまでも元気に若々しくすごせるよう、老化の兆しに合わせ、食事の見直しをしてあげましょう。