ドライタイプのキャットフードは、以下の2つの理由で酸化防止剤が必ず含まれています。

・賞味期限が製造直後から1~2年と長い。

・キャットフードの原料には酸化しやすいタンパク質や脂肪が多く含まれている。

酸化防止剤には、合成された人工の酸化防止剤とと天然由来のものの2種類があります。キャットフードを選ぶ際に天然の酸化防止剤が使われているという理由だけで、人工の酸化防止剤よりも猫の身体に安全というイメージを持ってしまいます。

実際のところ本当にそうなのでしょうか。今回は、キャットフードに使われている様々な天然由来の酸化防止剤の効果と注意点についてお話します。

酸化防止剤の役割

酸化とは、物質が酸素に触れることで、その物質の性質が変わってしまうことです。例えば、金属は酸化すると錆びてしまったり、リンゴを切って放置しておくと、切り口が茶色く変色したりすることなどがあります。

キャットフードには、多量のタンパク質や脂肪が含まれています。中でも脂肪は空気に触れるとすすぐに酸化が進み、品質や風味の劣化や栄養の破壊を招きます。そのため、酸化した食べ物は身体に毒になります。

猫が脂肪が酸化したキャットフードを食べると、悪玉コレストロール増加の原因になり、血管内に汚れが溜まり、血管自体が硬くなります。また、高血圧を招いたり、血流が滞りガンやアレルギーを発症する原因になることもあります。

このような危険を防ぐため、キャットフードには必ず酸化防止剤が含まれています。そして、飼い主は、キャットフードが酸化しないようにキャットフードの保管には気を付けることが重要です。

天然の酸化防止剤とは

キャットフードに酸化防止剤が必要な理由についてお話しました。次は、使われている酸化防止剤についてお伝えします。

酸化防止剤には、合成されたもの、天然由来のものの2種類があります。合成されたものには、BHAや没食子酸プロピルなどがあります。これらは、自然の中には存在せず、人の手によって作られた添加物です。

合成の酸化防止剤は、酸化を防止するという目的においては、とても効果が安定しています。

一方、天然由来のものには、ローズマリー抽出物、ミックストコフェロールなどがあります。元々自然に存在しており、人の手によって作られたものではありません。このため、人間や猫をはじめとした動物が食べても安心安全です。

最近では、キャットフードのバリエーションが増え、原材料に自然素材を使ったものも多くなっています。素材が高品質であればあるほど、酸化防止剤には天然由来のものを使い、猫の身体への安全性が追求されています。

但し、天然由来の酸化防止剤は、合成のものと比較すると酸化するのを抑える期間は短いという点では劣っています。そのため、早めに食べ切ることが必要になります。開封したキャットフードは必ず1か月以内で食べ切るよう飼い主はしっかり管理しましょう。

天然由来の酸化防止剤の種類

実際に使われている天然由来の酸化防止剤にはどのようなものがあるのでしょうか。以下に紹介します。

ビタミンC

野菜や果物に多く含まれるビタミンCは水に溶けやすいのが特長です。酸化を防止する効果が強く、食べ物が茶色く変色したり、風味が悪くなったりするのを防ぎます。キャットフードを新鮮に保つために添加されています。

トコフェロール(ビタミンE)

アーモンドなどのナッツ類や緑黄色野菜からとれるビタミンを化学合成されて作られます。脂肪分の多い食品の酸化を防ぐ効果が高いのが特徴です。

キャットフードでは、酸化しやすい脂肪分を酸化から守るためにトコフェロールが使われます。ほとんどの自然派高品質キャットフードに添加されています。

ローズマリー抽出物

ローズマリーは、シソ科のハーブです。酸化防止の効果が高く、若返りのハーブともいわれています。ローズマリーには、古代から薬としての効能があると言われています。中世の王侯らが愛用したという記録もあるため、安全性が高さも魅力です。

天然のものでの酸化防止はローズマリーという程、さまざまなキャットフードに使われています。ただ、脂の酸化を防ぐのではなく、あくまでも変色や風味劣化を予防するための添加物です。

緑茶抽出物

緑茶抽出物とは、お茶の葉や枝の主成分であるカテキンが主な成分となります。酸化を防止する効果が高い添加物です。前述したローズマリー同様に変色、風味劣化の予防に使われます。

天然由来の酸化防止剤の注意点

天然由来のものは安全性の高さが魅力です。しかし、酸化を防止する期間が、合成の酸化防止剤に比べて短いという点では劣っています。

そのため、天然由来の酸化防止剤が入ったキャットフードは、開封後は早めに食べ切ることが重要です。他にも酸化を防止するため気を付ける点について詳しくお話します。

・保管場所に気を付ける

・開封後は1か月以内で食べ切る

・小袋タイプのキャットフードを購入する

それぞれについて以下に説明します。

保管場所に気を付ける

酸化防止剤が含まれているとはいえ、キャットフードを開封した直後から酸化が始まります。開封後のキャットフードを保管する際は、高温多湿を避けるようにしましょう。また、トコフェロール(ビタミンE)は、日光や蛍光灯の光にも弱いため、薄暗い場所に保存するようにしましょう。

我が家では、キャットフードを密閉性の高いフードストッカーに入れ、廊下に置いてあります。風通しも良いですし、1年中薄暗い場所になるからです。

開封後は1か月以内で食べ切る

キャットフードの酸化を防止するためには、なるべく早く食べ切るようにしましょう。開封後1か月以内で食べ切るのが理想です。そのためにも、1袋あたりの量が多すぎないものを選ぶ必要があります。

あなたの猫が1か月で食べ切れる量(1.5㎏~2㎏)のものを選びましょう。残念ながら1か月以内に食べ切れなかった場合、酸化が進んだものは猫の身体に毒になるため廃棄した方が良いでしょう。

キャットフードの開封後1か月を経過する辺りに、あなたの猫が、キャットフードの匂いを嗅いで食べないなど今までよりも食いつきが悪いなと感じたら、フードが酸化している可能性が高まります。

猫は非常に嗅覚が優れているため、酸化したフードは敏感に察知します。極端に食いつきが悪くなります。猫の様子を良く観察しましょう。

例えば、いつもは喜んで食べていたのに、キャットフードの匂いを嗅いでプイッとどこかへ行ってしまったり、キャットフードを食べた後に嘔吐(おうと)するようになったりすることがあります。

もし、猫の様子が今までと違うと感じたら、キャットフードが酸化していることがあります。もったいないですが、残ったフードは捨ててしまって、新しいフードを開けてあげた方が良いでしょう。

小袋タイプのキャットフードを購入する

通常は1.5㎏~2㎏の内容量のものを購入するのが普通です。ただ、猫によっては1.5㎏~2㎏のものは大きすぎて、1か月以内で食べ切れないことがあるときは、小袋タイプのお試しサイズを購入することをおすすめします。

小袋タイプは、400g~500g、800gなどキャットフードの種類ごとに量はバラバラですが、1~2週間ほどの量がパッケージ化してあります。このように短期間で食べ切ってしまえるのであれば、酸化を気にする必要はありません。

ただ、小袋タイプ(400g~500g)のものは、標準タイプ(1.5㎏~2㎏)と比較すると、コストは割高になります。しかし、短期間で確実に食べ切ることができるため、猫が酸化したフードを食べて身体を悪くするリスクがありません。

猫の健康のためには、酸化したフードを避けることがとても重要です。保存場所や開封後の期間の管理などを十分に気を付けるようにしましょう。

まとめ

キャットフードに含まれる脂肪分は酸化しやすい食品です。空気に触れるとたちまち酸化が始まります。そして、酸化した脂肪分を食べると身体の健康を著しく阻害(そがい)します。酸化した脂肪分は身体にとって、毒になるため、酸化を防止することが重要です。

酸化を防止するための天然由来の酸化防止剤はさまざまなものがあります。天然由来のものはもともと自然に存在しているものを使っているため、安全性が高く、猫の身体にとっても安心です。

ただ、天然由来の酸化防止剤は、合成の酸化防止剤よりも酸化を防止する期間が短いという難点があります。天然由来の酸化防止剤のキャットフードを与える場合、「保管場所に気を付ける」「開封後は1か月で食べ切る」「小袋タイプのキャットフードを購入する」の3点に気を付けましょう。

一度酸化したフードは、残念ですが元の新鮮な状態へ戻すことはできません。キャットフードを開封した後は、酸化防止をしっかりすることが重要です。

フードの酸化には十分気を配りましょう。酸化していない新鮮なフードは、あなたの猫の健康を守るための大事な条件です。