猫の糖尿病は7歳以降に発症する病気です。猫は避妊したメスより去勢したオスがかかりやすいというのが特徴です。ただ、肥満が主な原因となりますのでメス猫も太り過ぎは糖尿病リスクが高くなります。

猫が糖尿病にかかってしまったら、インスリン投与による治療が基本です。ただ、インスリン投与の場合、過剰投与での低血糖を引き起こすリスクもあるため、慎重さや正確さが大事になってきます。このことでの、飼い主の精神的な負担も相当あるはずです。

ただ、猫の糖尿病の初期はほとんど症状がなく見過ごしやすい傾向があります。そのため、7歳を過ぎた肥満ぎみの猫は、糖尿病予防のキャットフードに切り替えるなど予防に気を配った方が良いでしょう。

我が家には15歳のオス猫がいますが、9歳のころは体重が6~6.5キログラムで肥満していました。健康診断の際に獣医から、まだ糖尿病を発症してはいないが血糖値が高めなので、キャットフードは糖尿病の療治食に切り替えた方が良いと指導がありました。

その後は、キャットフードの切り替えを行い体重は5~5.5キログラムになり、現在も糖尿病を発症せず過ごしています。つまり、糖尿病は予防することが重要なのです。

今回は糖尿病についてと予防するための糖質制限のキャットフードについてお伝えします。

糖尿病について

猫が生きるためにはエネルギーが必要です。筋肉や脳や心臓、その他内臓すべてを動かすためのエネルギーの素はブドウ糖です。炭水化物が酵素分解されブドウ糖になります。分解されたブドウ糖が血液の中を流れ、体中の細胞に届けられ体を動かすことができます。

血液中のブドウ糖は流れているだけではエネルギーになりません。ブドウ糖は細胞にエネルギーを取り込めることで初めて働くことができます。

ただ、通常の細胞はブドウ糖を吸収することはなく、インスリンホルモンがその橋渡しをします。つまり細胞内でブドウ糖が活躍するためには、インスリンが必要になるのです。

糖尿病は、インスリンが不足することや、インスリンが作用しなくなる病気です。通常、栄養素であるブドウ糖は尿に含まれません。ただ、血液中にブドウ糖が250 mg/dl(ミリグラム・パーデシリットル)以上になると尿の中に漏れ出します。

糖尿病になると生きるために必要なエネルギーが細胞に届かなくなります。血液中にブドウ糖が有り余っているにも関わらず、細胞は飢餓状態(きがじょうたい)になりだんだんやせ細り、処置が遅れると死んでしまいます。

糖尿病の原因

なぜ、このような恐ろしい病気になるのでしょうか。糖尿病の原因は以下の4つがあります。

・遺伝的要素がある

シャムネコ、バーニーズという種類の猫に糖尿病が発症しやすいです。

・肥満状態のため

通常通りインスリンが分泌されたとしても、脂肪が多すぎるためインスリンの効きが悪くなります。

・ストレスがある

猫は興奮すると血糖値が高くなります。例えば、健康診断の際も採血時に興奮しすぎて血糖値が異常値になります。もし猫の生活環境にストレスを感じることがある場合、血糖値が高い状態が続くことになります。

・膵炎

インスリンを分泌する臓器の膵臓(すいぞう)に炎症が起こる病気です。膵臓(すいぞう)が壊れ、インスリンが作れなくなったり、激しい炎症のためインスリンの効きが悪くなったりします。

上記の原因が複合的に絡み、糖尿病が発症するのです。

糖尿病の症状

糖尿病を発症したとき、どのような症状があるのでしょうか。具体的には以下のとおりです。

・水をたくさん飲み、尿の量が増える

糖尿病はインスリンの働きが悪く、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれないため、高血糖状態になります。その結果、血液中のブドウ糖が多くなりすぎます。

血液中に大量のブドウ糖が流れることで、腎臓(じんぞう)はそのブドウ糖を水と一緒に尿として排出しようとします。尿の量を増やすために、体の水分を使うことになります。

その結果、体全体が脱水状態になり、のどの渇きを感じて大量の水分を摂ります。ブドウ糖が血中に流れて高血糖状態が続けば、大量の尿が出て、脱水状態からのどの渇きが起こるというサイクルが続けられます。

・たくさん食べているのに痩せていく

糖尿病になると食べても栄養が吸収されないためお腹が空き、食欲が旺盛になります。インスリンの働きが弱まっているため細胞にブドウ糖のエネルギーを取り込むことができないためです。食べても食べても栄養は体外に排出されてしまうのです。

また、食べて栄養が得られないため、体の中に蓄えられていたタンパク質や脂肪をエネルギーとして消費することになります。よく食べるのに痩せていくのはこうした理由によるものです。

・歩き方がおかしい

糖尿病が進行すると、運動障害が起こります。具体的には、猫の歩き方が不自然になります。猫が通常歩くとき、後ろ足はつま先で歩きます。糖尿病の症状では、後ろ足のかかとを地面につけた歩き方になります。

健康な猫は以下のようにつま先で立ちます。

猫のかかとは人間と違い、以下の部分になります。

健康なとき、猫は高い場所に飛び上がる際にかかとをつけた姿勢になります。

ただ、糖尿病の猫は神経障害を患うため、かかと全体を床につけ、引きずるように歩きます。かかとをべったりつけているため、下半身が極端に下がった姿勢になります。この状態は、糖尿病が進行した状態です。

糖尿病の予防策について

糖尿病を予防するためには、「肥満を避ける生活習慣」「ストレスを溜めない生活習慣」が必要になってきます。

肥満を避けるためには、食事管理と適切な運動が大事です。また、ストレスは個々の猫により感じ方が違います。例えば、仲の悪い猫同士の場合などは生活空間を分けるなど、無駄なストレスを感じさせない工夫が必要です。

ストレスについては、猫の生活態度の中で過剰な興奮状態が見られた場合や、ピリピリ神経質になっている様子を感じたら注意しましょう。

糖質制限が必要な理由

人も猫も糖質を摂りすぎることで肥満や糖尿病になりやすくなります。なぜ糖質を摂りすぎると肥満や糖尿病になりやすくなるのでしょうか。

まずは、肥満になる原因について説明します。炭水化物を食べると糖質に変化し、ブドウ糖になります。ブドウ糖はインスリンの力を借りて細胞内に取り込まれてエネルギーになりますが、過剰なブドウ糖はエネルギーとして消費されることなく余ってしまします。

余ったブドウ糖が中性脂肪に変化し、筋肉内に蓄積されたり内臓脂肪・皮下脂肪になったりするのです。

また、炭水化物を摂ることでブドウ糖が血液中に流れ血糖値を上昇させます。その後インスリンが分泌され細胞のエネルギーに変化します。

ただ、猫は基本的に肉食動物という特性があり膵臓自体が小さく、インスリンの分泌が少ない動物です。糖質の素になる炭水化物をたくさん食べることは体に負担をかけることにつながります。

多少の炭水化物は必要

極端な話になりますが、肥満・糖尿病予防のために炭水化物を抜き、糖質ゼロにするとどうなるのでしょうか。1960年代に猫に生の牛の心臓だけ食べさせるという実験がありました。その結果、猫はカルシウム欠乏症になってしまったそうです。

これより、猫は肉食動物ではありますが、栄養バランスが大事という結論になり現在に至っています。猫にとって糖質ゼロでの生活は難しいことがわかります。

一方、猫が野生で生活した場合、ネズミを丸ごと食べて生活しています。その際は、ネズミの胃に残った炭水化物(糖質・食物繊維)も体に摂り入れていました。炭水化物を積極的に取り入れることはしませんが、ねずみの体内に残っている程度が必要量なのです。

猫は体の毛を舐めるグルーミングの習慣を持っているため、炭水化物に含まれる食物繊維は、胃腸に溜まった毛を絡め取り体外に排出してくれます。つまり、猫にとっては肉をメインとしながらも炭水化物も少しは必要な栄養素なのです。

つまり、糖質制限キャットフードは、野生の猫の食生活に近い食事といえます。

飼い猫に糖質制限キャットフードを与える時期

糖質制限のキャットフードを与える前に、飼い猫の適正体重を知ることが大事です。猫の体形は個々に違いますので、オス猫〇キログラム、メス猫〇キログラムが適性体重と決めることはできません。

目安になる体重は、生後1年目を迎えた時期の体重です。この時期は、体が成熟した時期であり、無駄な脂肪はついていないからです。飼い主はこの時期の体重をきちんと把握することが大事です。ただ、体重が分からないときはそのころの猫の写真で体形を確認してみると良いでしょう。

「肥満になる体重の目安=生後1年目の体重×1.15」です。

例えば、生後1年目の体重が4.5キログラムの猫の場合、肥満体重の目安は「4.5キログラム×1.15=5.175キログラム」です。つまり、約5.2キログラムを超えた場合、肥満していることになります。

室内飼いの場合、運動量も限られており太りやすいのが普通です。飼い猫の体重を管理し、必要であれば早めに糖質制限キャットフードに切り替えましょう。

糖質制限キャットフードについて

糖質制限キャットフードは以下のように「低炭水化物」と表示があります。

通常のものよりも炭水化物を控え、内臓脂肪や皮下脂肪の素になる余剰なブドウ糖を作らないように配慮されています。

肥満が糖尿病リスクを増大させます。室内飼いの猫は活動量が少ないため、太りやすくなります。成猫になった後の猫の体重は、年に2~3回はチェックし、適正体重×1.15に近い体重になった際は早めに糖質制限キャットフードへ切り替えましょう。

ちなみに、我が家の猫は夏は痩せていましたが、秋から冬にかけては食欲が旺盛になり太っていました。季節による変動もあります。

糖尿病の療治食キャットフード

飼い猫が適正体重×1.15を大幅に超えてしまった場合はどのような対処方法があるのでしょうか。我が家でも飼い猫の食事管理ができず、太ってしまったことがありました。

先にも述べましたが、オス猫が9歳のときに、体重は6.5キログラムでした。この猫の適正体重×1.15=5.75キログラムですから、相当なデブ猫でした。

獣医から「ダイエットさせないと糖尿病になりますよ」と言われ、糖尿病の療治食に変更することになりました。そのキャットフードが以下です。

このキャットフードは療治食のため、どこの動物病院でも取り扱いがあります。

特徴としては、低脂肪・低カロリーに作られており、食物繊維が豊富に含まれたキャットフードです。実際のところ完全に減量できるまでは時間がかかりました。粘り強く2年間ほど継続することで適正体重の5.5キログラムを維持できるようになりました。

現在はこの療治食は食べていません。オス猫はメス猫と比べて、食欲も旺盛で太りやすいため早めの体重管理が必要だと感じました。

生活習慣について

食事管理以外で肥満を防ぐために必要なことは運動することです。筋肉量を増やし、太りにくい体を作ることが大事です。

そのため、以下のことを実施しましょう。

・上下運動におもちゃを使う

猫は上下運動をして全身の筋肉を鍛えるのが効果的です。階段でボールを落としたり、上に放り投げたりして上下運動をさせましょう。また、キャットタワーの上で猫じゃらしを使い遊ばせるのも良いでしょう。1回あたりの運動時間は15分を目安にし、2~3セットするのが理想です。

猫のおもちゃはペットショップに行くとさまざまなものがあります。

我が家では以下のおもちゃを使っています。

・多頭飼いにする

一匹だけで猫を飼っている場合、もう1匹増やすという方法もあります。年齢が離れすぎると遊び相手になりませんが、年齢差が5歳以内であれば追いかけっこやかくれんぼをして遊んでいます。

注意点としては、太った猫が激しい運動を急にすると、関節や心臓に負担がかかります。おもちゃで遊んであげる場合、猫の様子を観察しながら無理なく運動するようにしましょう。

食事管理も運動も少しずつ習慣化することで着実に体重を減らすことができます。

まとめ

7歳以上のオス猫は糖尿病にかかる確率が高く、主な原因は肥満によるものです。ただ、メス猫も肥満になれば糖尿病リスクが高くなります。

糖尿病はインスリンの分泌が悪くなる病気であり、発症後はインスリン投与が必要になります。ただ、正確に投与をしないと低血糖を起こすことがあり危険です。

糖尿病は食べたものがエネルギーにならないため、どんどん痩せるなどの症状があります。初期段階は見つけにくい病気のため、肥満しないための食事・運動管理が必要です。

肥満かどうかについては、個々の猫の適正体重を知ることが大事です。基準になる体重は生後1歳のときの体重です。基準体重×1.15までの範囲内であれば標準体であり、それ以上の体重ならば肥満体です。

飼い猫の体重を、年2~3回はチェックしましょう。季節によって猫の食欲は変わります。個々の猫の特徴を知ることが大事です。

肥満体になった際は、早急に糖質制限キャットフードに切り替えましょう。糖質制限キャットフードは炭水化物の量を抑え、たんぱく質が多めにできています。炭水化物を減らすことで無駄なブドウ糖が減ります。その結果、スムーズにカロリー消費ができ、猫は太りません。

さらに、生活習慣の中に運動を取り入れましょう。上下運動を取り入れ、猫が楽しく健康的に運動できるようにしましょう。ただ、肥満猫に激しい運動は不向きです。関節や心臓に負担がかからないよう様子を見ながら行いましょう。

糖尿病はかかってしまうと猫が大変な思いをします。肥満を予防すれば糖尿病も予防できます。